研究実績の概要 |
今年度、間葉系幹細胞のレセプターの1つであるCD271(LNGFR(P75))の発現や局在について検討を行った。 実験開始から0日,4日,7日で下顎右側の顎骨を回収し、4% PFMにて固定し、10%EDTAにて2週間脱灰を行った後、下顎第一臼歯分岐部の凍結切片を製作し、発現の経時的変化を検討した。 In vivo咬合性外傷モデルマウスにおいて、早期接触による過剰メカニカルストレスにより根分岐部の歯根膜周囲組織にSDF-1とその受容体であるCXCR4の発現が認められた。同時にCD271の発現も骨髄と歯髄組織に認められた。これらの変化は6週齢のマウスにおいては刺激後4日目で、30週齢のマウスにおいては刺激後2日目で一過性に増大した。以上結果より、過剰なメカニカルストレスにより歯根膜組織からSDF-1が分泌され、これがニッチを介して骨髄と歯髄組織に存在している間葉系幹細胞のCXCR4に結合することが骨芽細胞への分化や咬合性外傷に対する歯槽骨の骨質維持に連動することが示唆された。
|