研究課題/領域番号 |
15K11191
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山口 哲史 東北大学, 大学病院, 助教 (50400263)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 咀嚼筋 / MRI |
研究実績の概要 |
当該年度では、健常被験者を対象に1分間のclenchingをタスクとしてmfMRIの撮影を行った。運動強度は最大咬合力を100%MVCとした場合の10、20、30、40%MVCとし、同じ運動強度における筋電図も測定して筋電図積分値(iEMG)を算出した。mfMRIの解析では、再構成したT2画像に対して、TE=20、60msのMR画像の全スライス上で設定した咬筋浅層と側頭筋の関心体積(volume of interest: VOI)を適用した。このVOIに含まれるvoxelの平均T2とvoxel数を算出し、被験者ごとに各筋の複数の安静時平均T2の中で最小のものを、その筋の安静時平均T2の代表値とし、タスク後の平均T2から安静時平均T2の代表値を減算した値をΔT2とした。最後に、ΔT2と当該筋の平均voxel数の積を算出し、これを∫ΔT2とした。 統計解析の結果、ΔT2と∫ΔT2は、共にiEMGと有意な相関を示し、ΔT2の方が相関係数は高かった。また、T2変化は咬合力および運動強度とも有意な相関を示し、特に∫ΔT2は咬合力と相関係数0.7以上の強い相関を示した。一方、iEMGも咬合力や運動強度と有意な相関を示したが、T2変化とは逆に、運動強度とより強い相関を示した。更に、咬合力と運動強度を制御変数として偏相関分析を行うと、ΔT2のみがiEMGと有意な相関を示した。ΔT2は、筋全体の代謝から算出した単位体積あたりの活動量を反映していると考えられ、∫ΔT2と比較して筋の大きさによる影響が補正されているため、電極周囲の局所筋活動の積分であるiEMGと相関したと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度は、咀嚼筋活動測定のゴールドスタンダードである筋電図法との比較を行うことで、mfMRIの信頼性を評価することに重点を置いて研究を行った。そのため、解剖学的標準化や統計画像を応用した解析方法の検証に関して、本研究課題の進捗はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度から被験者を対象としたMR画像の撮影が開始され、旧来の手法を発展させた咀嚼筋T2の解析は順調に進行している。次年度はMR画像のRegistration法を確立し、VOI解析や統計画像解析など、様々な解析方法を検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度はmfMRIの信頼性検証を目的として、既存の筋電図装置を使用して測定した筋電図積分値との比較を行ったため、画像Registrationの検証に使用するワークステーション等の購入が遅れ、次年度使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は画像のRegistrationや統計画像処理など、複雑な処理を要する解析を集中して行う必要があるため、高性能ワークステーションや解析ソフトの購入に使用する予定である。
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