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2016 年度 実施状況報告書

レトロネーザルを応用した咽頭残留の定量評価~咽頭残留に影響する因子~

研究課題

研究課題/領域番号 15K11194
研究機関新潟大学

研究代表者

堀 一浩  新潟大学, 医歯学系, 准教授 (70379080)

研究分担者 井上 誠  新潟大学, 医歯学系, 教授 (00303131)
小野 高裕  新潟大学, 医歯学系, 教授 (30204241)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード嚥下 / 咽頭残留 / 嚥下障害 / 舌圧
研究実績の概要

高齢化社会において,加齢や疾患に伴う嚥下障害は誤嚥や窒息を引き起こす可能性があり,大きな問題の一つとなっている.嚥下後誤嚥は,梨状窩や喉頭蓋谷など咽頭内に残留したものや口腔内に残留した食塊が喉頭内に侵入し,誤嚥に至るものである.しかし,これまで多くの研究において,咽頭内に残留する食塊の定量的評価を行う試みが行われているものの,未だ確立された方法はない.
そこで我々は,呼気に含まれる香料の濃度を鼻孔や口腔から測定することにより,口腔・咽頭残留量を評価する方法を考案した.本法の特徴は定量的かつ経時的ににおい強度を測定できる装置を用いることにより,非侵襲的かつ定量的に口腔・咽頭残留を測定できることである.装置は新コスモス電機社製ニオイセンサーXP-329IIIRを使用し,口腔・鼻腔からの呼気に含まれるにおい成分量を経時的に測定した.試料として三栄源エフエフアイ社製香料を使用した.
前年度までに,嚥下圧と香気量には相関が認められ,食品のフレーバーリリースだけでなく嚥下時の咽頭圧が香気量に影響を及ぼしていることが明らかとなった.さらに,試料が咽頭内に残留している間のにおい強度と咽頭残留量には,高い正の相関関係が見られ,咽頭残留を香気量から推定する可能性が明らかとなった.
本年度は,嚥下後咽頭残留をシミュレートして,嚥下運動を伴うレトロネーザルの動態を検証するとともに,嚥下後咽頭残留同定のためのアルゴリズムの検討を行った.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は,嚥下後咽頭残留をシミュレートして,嚥下運動を伴うレトロネーザルの動態を検証するとともに,嚥下後咽頭残留同定のためのアルゴリズムの検討を行った.まず,前年度の結果を受け,嚥下後の咽頭残留量と香気量が相関していることを確認した.
具体的には,香料5mlを口腔内に入れて嚥下させ,香料5mlを嚥下させた直後に,香料0.2 ml,0.4 ml,0.6 mlを咽頭内に注入し,5分間嚥下せずに保持させた.その結果,嚥下後の香気量はおよそ30~60秒後に最大となり,その後減少した.嚥下後300秒の香気量は注入量と有意に相関し,香料の注入量が多いほど高い香気量が得られた.各群間の比較では 5+0.0ml群と5+0.4ml群および5+0.6ml群との間にそれぞれ有意差が認められた.しかし,嚥下後に香量の保持時間が長い場合,保持できずに嚥下してしまうことや,体動などによるばらつきが認められ,やや相関係 数は低くなった.そこで,嚥下後の香気量の減少は減衰曲線に近似されることから,より短時間の測定結果を用いて咽頭残留 を推定することを試みた.その結果,推定値は注入量と有意に相関し,香料の注入量が多いほど高い推定値が得られた.また,その値は前年度の検討で得られた安静時咽頭残留時の香気量と ほぼ同等のものとなった.
課題はおおむね研究計画どおりにすすんでおり,得られた結果も想定通りのものであったことから,おおむね順調に進行しているものと考えられる.

今後の研究の推進方策

本年度の結果から,嚥下運動をともなうにおい強度の動態,および嚥下後咽頭残留シミュレーション時の匂い強度の動態を明らかとした.これらは,次年度の実験における条件データとなるものであった.
次年度は,咀嚼を伴う嚥下運動によるにおい強度の変化を検討する予定としている.また,食品物性や食品動態の影響も検討する予定である.さらに,既存の咽頭残留計測装置との比較を行う予定としており,本計測法の精度を検討する.
また,これまでの研究結果を総括し,結果報告・論文執筆を行っていく予定としている.

次年度使用額が生じた理由

おおむね計画通りに予算執行したが,一部物品の費用が割り引かれており,少額の助成金が残っている.

次年度使用額の使用計画

少額の消耗物品を購入する予定である.

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Measurement of swallowing by monitoring thyroid cartilage movement in healthy subjects using thickened liquid samples and its comparison with sensory evaluation2017

    • 著者名/発表者名
      Funami T, Matsuyama S, Ikegami A, Nakauma M, Hori K, Ono T
    • 雑誌名

      J Texture Stud

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • DOI

      10.1111/jtxs.12261

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] 長期経過における機能変化への対応を考える2016

    • 著者名/発表者名
      堀 一浩
    • 雑誌名

      顎顔面補綴

      巻: 39 ページ: 95-97

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Importance of professional oral hygiene in preventing medication-related osteonecrosis of the jaw2016

    • 著者名/発表者名
      Ohnishi Y, Ito K, Kitamura R, Funayama S, Hori K, Inoue M
    • 雑誌名

      IJOMS

      巻: 15 ページ: 85-92

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] 舌接触補助床(Palatal Augmentation Prosthesis)2016

    • 著者名/発表者名
      小野高裕,堀一浩
    • 雑誌名

      日本歯科医歯学会雑誌

      巻: 69 ページ: 14-17

    • 査読あり
  • [学会発表] Evaluation of pharyngeal residue after swallowing using odor sensor2017

    • 著者名/発表者名
      Okawa J, Hori K, Fujiwara S, Uehara F, Ono T
    • 学会等名
      Collaborative Symposium Faculty of Dentistry Prince of Songkla University - Niigata University
    • 発表場所
      Samui, Thailand
    • 年月日
      2017-02-11 – 2017-02-12
    • 国際学会
  • [学会発表] 舌接触補助床(PAP)による嚥下機能の回復2016

    • 著者名/発表者名
      堀一浩
    • 学会等名
      第2回補綴歯科臨床研鑽会プロソ’16
    • 発表場所
      ベルサール新宿(東京都)
    • 年月日
      2016-12-10 – 2016-12-11
    • 招待講演
  • [学会発表] センサシートで診る舌の動き2016

    • 著者名/発表者名
      堀一浩
    • 学会等名
      第23回日本歯科医学会総会
    • 発表場所
      福岡国際会議場(福岡市)
    • 年月日
      2016-10-21 – 2016-10-23
    • 国際学会
  • [学会発表] ニオイセンサによる嚥下後咽頭残留の推定2016

    • 著者名/発表者名
      大川純平,堀 一浩,藤原茂弘,上原文子,小野 高裕
    • 学会等名
      日本顎口腔機能学会第57回学術大会
    • 発表場所
      東北大学(仙台市)
    • 年月日
      2016-10-02 – 2016-10-03
  • [学会発表] 香料を用いた嚥下後咽頭残留の定量的評価の試み2016

    • 著者名/発表者名
      大川純平,堀 一浩,藤原茂弘,上原文子,小野 高裕
    • 学会等名
      第22回日本摂食嚥下リハビリテーション学会学術大会
    • 発表場所
      朱鷺メッセ(新潟市)
    • 年月日
      2016-09-23 – 2016-09-24
  • [学会発表] Tongue pressure measurement and rehabilitation using palatal augmentation prosthesis for glossectomy patients2016

    • 著者名/発表者名
      Hori K
    • 学会等名
      第22回日本摂食嚥下リハビリテーション学会 日韓合同シンポジウム
    • 発表場所
      朱鷺メッセ(新潟市)
    • 年月日
      2016-09-22 – 2016-09-22
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2018-01-16  

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