研究課題/領域番号 |
15K11195
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山口 哲 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 講師 (30397773)
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研究分担者 |
今里 聡 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (80243244)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | バイオメカニクス / 有限要素法 / マルチスケール解析 / コンポジットレジン / 構造最適化 |
研究実績の概要 |
本研究では、コンポジットレジン(CR)の機械的強度が、未だ歯科用金属に及ばないことに着目し、CRを構成するフィラーの種類、サイズ、配合方法や幾何学的配置などのパラメータと機械的強度の関連性をシミュレーションモデルによりin silico予測することで、機械的強度の向上につながるメカニズムを明らかにすることを目的として、研究実施計画に基づき、段階的に研究を遂行した結果、本年度は以下の成果が得られた。 1.異なるフィラー含有率を有する試作CRを作製し、in vitroでの3点曲げ試験により曲げ強度を求めた。次に、曲げ強度予測を行うためのin silico解析モデルを作製し、代表的な4つの破壊基準である最大主応力、最大主歪み、せん断応力とvon Mises応力を用いて予測された曲げ強度をin vitroで得られた曲げ強度と比較検証した。その結果、最大主ひずみが破壊基準として有用であることを明らかにした。 2.試作CR(体積含有率31.2%)を高解像度ナノCT装置で撮影し、得られた画像列を基に、CR構造を精密に再現したコンピュータモデルを作製した。これらのモデルを用いてin silicoでの力学解析を行った結果、フィラーとマトリックスが完全に結合している条件では、ミクロスケールレベルにおける最大主ひずみが、マトリックス内部で生じることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績概要に記載したとおり、本年度はフィラー含有率の異なる試作コンポジットレジン(CR)を用いて、in vitroでの3点曲げ試験を実施し、得られた曲げ強度を基に、in silico曲げ強度予測に有用な破壊基準が最大主ひずみであることを確認した。さらに試作CRの高解像度ナノCT画像を基にin silicoで力学解析を行い、ミクロスケールレベルの最大主ひずみ分布の検証を行った。当初の計画では、最大主ひずみを破壊基準の対象に限定していたが、代表的な4つの破壊基準を比較検証することにより、最大主ひずみの有用性をより明確にした。さらに、フィラーの形状、サイズや幾何学的配置などの特徴を、独自の手法で抽出する予定であったが、高解像度ナノCTを利用することで、より精確なモデルを作製することに成功した。以上より、当初の計画どおり解析手法の基盤を確立できた。
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今後の研究の推進方策 |
従来のコンポジットレジン(CR)よりも高強度でさらに寿命の長い、新規のCRを創製するために、確立した解析手法を用いて、フィラーの種類(シリカ、ジルコニア、バリウムガラスなど)、サイズ(ナノ、ミクロ、マクロ)、配合方法(体積含有率と重量含有率)や幾何学的配置(マクロフィラー型、マイクロフィラー型、サブマイクロフィラー型、ハイブリッド型、セミハイブリッド型、ナノフィラー型など)を様々に変化させ、曲げ強度を最適化することで、どのパラメータが最も曲げ強度の向上に寄与しているか明確にする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では、領域抽出技術を応用した独自のソフトウェアを開発し、マルチスケール解析に使用するモデルを作製する予定をしていたが、高解像度ナノCT装置の利用することにより、精確なモデルの作製に成功したことから、その必要がなくなった。また平成27年度は、国内学会で2度の成果発表を行う予定をしていたが、平成28年度に計画していた解析の一部を進めることに成功し、その成果を国際会議で発表した。これに伴い使用計画を変更したために、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度の研究実施計画のとおり、コンポジットレジンの強度を向上するために必要な数多くのパラメータの最適化を進め、得られた成果を国内外の学会において発表するための参加費や旅費の一部、あるいは論文投稿費として利用することを予定している。
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