マウスガードの装着における最大噛みしめが,歯の破折の精神的ストレスを軽減し,安定した咬合バランスと咬合力の分散により,スポーツ競技中に生じる咀嚼筋の痛みや疲労自覚を軽減させ,スポーツパフォーマンスを向上させるのではないか,マウスガード装着の有無による咬筋(Mm),側頭筋(Tm),胸鎖乳突筋 (SCM)の筋電図と周波数および咬合様相を分析し,またVAS値による比較検討を行った。タスクは持続的最大噛みしめを30秒間行い,解析時間は噛みしめ開始から10秒間毎とした。筋活動量はTotal Power値において,MmのMGが0-10秒間に有意に大きい値を示したため MGは噛みしめ開始時にMmの筋活動を向上させる。平均周波数では,すべての期間においてMGはMmに低域にシフトさせた。平均周波数の左側へのシフトはMmの筋活動が強くなったため筋の疲労によると考えられるが,疲労および痛み感を示すVAS値ではMGは有意に低かった。そのため筋疲労による周波数の低域へのシフトではではなく,運動単位の動員の増加と同期化によりTotal Power値と平均周波数の低域へのシフトが生じたと推察される。低周波にシフトすることにより,筋活動のスパン間隔を長くすることで筋活動エネルギーの使用を効率化するような現象が生じることで筋の疲労感が減少したと推察される。これは,咬合様相の結果から,噛みしめ時の咬合接触面積がMGは有意に大きくなり,咬合バランスが安定したためと示唆される。よって,MGはMmの筋活動を向上したにもかかわらず噛みしめ後の疲労および痛みの自覚が軽減している。この疲労自覚と脳活動について,f-MRIを用いて検証を行っているが, f-MRIの解析において噛みしめ時に生じる頭部の動きにより,f-MRIの解析結果が遅れている。
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