研究課題/領域番号 |
15K11204
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
大熊 一夫 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 准教授 (50203740)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 歯科用CAD/CAM / 完全焼結体 / ジルコニアセラミックス / 高出力レーザー / 5軸加工 / クラウン / 修復物の精度 / 熱影響層 |
研究実績の概要 |
オールセラミックスクラウンのコーピング材である高強度セラミックブロック(イットリア安定化ジルコニアセラミックス)から、高出力レーザーによる新しい切削加工法を開発することが目的である。現在、半焼結ブロックからバーによる切削後、再び焼結する方法が普及している。半焼結ブロックからCAD/CAMによる切削加工前に、再焼結による大きな20~30%収縮(20%)を補正しなければならないので、歯科用CAD/CAMが必須な機器となっている。しかし、再焼結により精確な修復物の作製は不可能である(技工士によって調整されて、臨床で応用されている)。そこで、完全焼結ジルコニアセラミックブロックから、高出力レーザーの蒸散による切削加工で、高精度のジルコニアセラミックコーピング作製の方法を開発する。 今年度は:a)完全焼結ジルコニアセラミックブロックにおける切削に適当な高出力レーザーの照射条件:完全焼結体のY-TZPブロックに、フェムトレーザー、ピコレーザー、ナノレーザーをブロックに照射した。適当照射条件(加工深度が深い)が明確になった。 b)レーザー照射による熱影響層の確認:完全焼結ジルコニアセラミックスに高出力レーザーを照射した痕の直下の熱影響層の状態を確認することにより、レーザーの熱による変性が小さいことが分かった。 c)5軸加工技術の導入(平成28年度を予定):レーザーと5軸の作業台を設置することにより、クラウンの内部をレーザーで加工することができた。 完全焼結ジルコニアブロックから、高出レーザー作製したクラウン(CAM用ソフトで、セメント層を0mmに設定)と金型の垂直的間隙は0.49%となり、僅かに収縮した。標準偏差が0.11と大きく、レーザーで切削加工して作製したクラウンの個体差は大きかった(繰り返し6回)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
レーザー装置の購入が早く、設置がスムーズに出来たこと。さらに、5軸の作業台を流用できたことが大きな理由である。 また、同時に進めている研究で、ISO TC 106 SC9/WG5(機械加工物)のCDを作成していて、修復物の精度を金型を用いて測定を経験しているからと考える。
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今後の研究の推進方策 |
クラウンの精度の実験の結果、完全焼結ジルコニアブロックから、高出レーザー作製したクラウン(CAM用ソフトで、セメント層を0mmに設定)と金型の垂直的間隙は0.49%となり、僅かに収縮した。 よって、CAMソフトのプログラムを修正して、金型による測定で、精度が0%になるようにする。 標準偏差が0.11と大きく、レーザーで切削加工して作製したクラウンの個体差は大きかったので、レーザー切削加工が安定するようように、照射雰囲気や照射条件を調整する。 さらに、5軸の作業台を用いた、クラウンの外形を加工するCAMソフトを開発する。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品は発注したが、事務における検品が3月末日までにできなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
既に、4月に検品は終了している。
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