研究実績の概要 |
本研究の目的は、完全焼結ジルコニアセラミックブロックから、高出力レーザーの蒸散による切削加工で、高精度のジルコニアセラミッククラウン作製の方法を開発することである。現在、半焼結ブロック(100HV)から切削後、再び焼結(1300HV)しているので、半焼結ブロックを本焼結するときに生ずる大きな20~30%焼成収縮により、ひずみが生じ、このひずみの出現部位を予想できない。よって、現状の作製方法で作製したクラウンの精度は悪い。よって、完全焼結ブロックから、高出力レーザーによる加工したクラウンは精度が高いと考えた。 平成27,28年度において、レーザーのジルコニアセラミックスに最適な照射条件を決め、3軸加工技術のレーザー装置を組み立て、完全焼結体の高強度セラミックスからクラウンを作製した。しかし、Z方向の切削に不足が生じ、作製したクラウンと支台歯との間隙が大きく、適合の悪いクラウンであった。 平成30年度は、5軸加工技術のレーザー装置を組み立て、適合の良いクラウンが作製できた。さらに、クラウンの歯頸部の真円度も測定し、レーザー加工は円を正確に作製するのに、優位な方法であることが明確になった。また、レーザー照射痕(表面変え200μm以内)の物理的、機械的性質が、従来の電気炉による焼成したジルコニアセラミックスのそれらとは差がなかった。実際に直ぐに臨床応用できるデータを得た。以上の結果を、国際歯科材料会議2016(インドネシア)口頭発表、第71回日本歯科理工学会(2018年:大阪)でポスター発表した。さらに、2017年12月に論文をDMJ(Master Journal List掲載誌)に投稿し、2018年4月にアクセプトまでに至った。
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