研究実績の概要 |
前年度に引き続き口腔粘膜由来iPS細胞の培養上清(iPS-CM)および骨髄由来間葉系幹細胞(MSC)の培養上清(MSC-CM)による骨形成能の比較をin vitroおよびin vivoで行った。 また培養上清(CM)の構成成分での骨形成を検討すべく、1)MSC-CMを模した成長因子のカクテル(IGF-1, TGF-β, VEGF)の組み合わせた合剤(CC)、2)それぞれのCMから分離したエクソソームについてiPS-CMおよびMSC-CMと同様に骨形成についての検討を実施した。in vitroにおいてはそれぞれの因子を添加し培養したヒトMSCの細胞遊走能、細胞増殖能、血管新生能、骨形成関連遺伝子発現を、in vivoではWisterラット頭蓋骨骨欠損モデルを作成し、アテロコラーゲンシートにそれぞれの因子はを含有させ移植を行い、2週、4週で組織学的およびX線学的評価を行った。なお、エクソソームは超遠心法を用いたエクソソーム除去FBSにて培養したヒトMSCから分離回収し使用した。それぞれから分離したエクソソームをiPS-ExoおよびMSC-Exoとした。 MSC-CMとCCは細胞遊走能、血管新生能、骨形成関連遺伝子発現において同等の作用を示した。またラットの骨欠損においても早期に骨再生を認め、再生部における骨再生面積も同様で、MSC-CMの骨再生においてIGF-1, TGF-β, VEGFの3種のサイトカインが重要な役割を担っていることが示唆された。 一方、iPS-ExoおよびMSC-ExoもMSC-CM、CCと同様の細胞遊走能、血管新生能、骨形成関連遺伝子発現の亢進を示した。in vivoにおいても同様であったが、MSC-CMと同程度の骨再生効果を得るには300~500倍量程度の培養上清が必要で、骨再生に関わるエクソソームの必要量に関してはさらなる検討が必要であることが示唆された。
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