研究課題/領域番号 |
15K11221
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
中川 種昭 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00227745)
|
研究分担者 |
森川 暁 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (00424169)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | iPS細胞 / フィーダーフリー / ゼノフリー / 歯周組織再生 |
研究実績の概要 |
本研究課題はiPS細胞から歯周組織の発生学的起源である神経堤細胞を誘導することを研究計画とした。これまでの研究成果は①実際の治療を目的として誘導されたiPS細胞、すなわち治療用iPS細胞を京都大学と提携することによって用いることができるようになった。②治療用iPS細胞を使用することから、培養に用いるフィーダー細胞の使用も課題となっていることから本研究課題の重要なステップとして、フィーダーフリー培養法を確立した。③臨床実用化の重要なステップになる無血清培養法、すなわちゼノフリー培養法でのiPS細胞の維持と神経堤細胞への誘導を実現させた。この①②③の結果本研究課題の(研究期間に限定されない)最終的ゴールであるヒト歯周組織再生に向けた非常に重要かつ必須のステップとその成功だったと考えている。現在はフィーダーフリー/ゼノフリーの条件で培養した治療用iPS細胞から神経堤細胞に誘導し、その増殖能や分化能に加え、神経堤細胞の重要な性質の一つである遊走能に関してもin vivo実験で評価を行っている。歯周組織は歯肉・歯根膜・歯槽骨・セメント質からなることから、iPS細胞から各々を誘導するのか、あるいは歯のユニットとして誘導するべきなのかについては文献や他の研究協力者と相談し、試行錯誤していく。また、現在歯周組織再生の候補として基礎・臨床研究が進んでいる間葉系幹細胞系統への誘導と分化能については確認できた。さらに誘導幹細胞による歯周組織再生に向けた画像評価法の確立、すなわちサクリファイスすることなく生体外のから移植細胞の生存を確認する方法を検討している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
治療用iPS細胞の使用と、無血清培地の使用およびフィーダーなしでの培養法の確立など、概ね順調に推移している。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の予定として、①将来の移植治療を見据えたフィーダーフリー・ゼノフリーの培養方法で間葉系幹細胞、歯および歯周組織の起源細胞である歯原性上皮細胞/間葉細胞への誘導と、そこから歯周組織構成細胞への分化方法を構築する。②マウスとコモンマーモセットの歯周組織および骨欠損モデルを作製する。③ ②のモデルマウスに移植治療を行い、マイクロCT・MRI・発光イメージングを駆使して組織再生様式を解析し、有効性と安全性を評価する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
消耗品として抗体などの購入を予定していたが、予定より使用抗体量が若干少なかったためである。
|
次年度使用額の使用計画 |
ほぼ、抗体一本分の費用であり、繰り越された金額はH28年度の使用予定通り進めるつもりである。
|