研究課題/領域番号 |
15K11226
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
辻村 麻衣子 (羽下麻衣子) 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 准教授 (60535219)
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研究分担者 |
中原 賢 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 准教授 (20610257)
今井 あかね 日本歯科大学新潟短期大学, その他部局等, 教授 (60180080)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | インプラント / 骨組織 / 歯学 |
研究実績の概要 |
今年度は動物飼育および実験を行う施設の改築に伴い、動物実験が制限されたため、昨年度からの解析をまとめ、抜歯後インプラントを埋入した場合の周囲組織の変化とインプラントを埋入せず抜歯のみ行った場合の組織変化をより詳細に比較した。 ラットの上顎第一臼歯を抜去した1か月後にインプラント(純チタン棒)を埋入し、埋入7日、1、3か月後に摘出したインプラント周囲骨を解析するとともに、抜歯7、14日、1、3か月後に摘出した抜歯窩周囲骨を解析した。インプラントモデルではインプラント周囲組織の界面から100 μm、100-250 μm、250-500 μmの範囲、抜歯モデルでは抜歯窩壁から同様の範囲と窩壁から内側に100 μmの範囲の組織計測も行い、以下のような結果を得た。 インプラントモデルではすべての範囲で経時的に骨組織が増加していた。1か月後までは周囲100 μmの範囲で他の部位より成熟した骨組織が少なかったが、3か月後には全ての部位で成熟した骨組織がほぼ同様にみられた。抜歯モデルでは、7日後の抜歯窩内にはほとんど成熟した骨組織が認められず、抜歯窩周囲骨組織との境界は明瞭であった。抜歯窩周囲の部位はいずれも成熟した骨組織を認め、組織の差は小さかった。抜歯1か月後には抜歯窩は治癒し、周囲との境界は不明瞭になり、抜歯3か月後には骨が緻密化し、完全に一様な組織として観察された。抜歯後の組織はインプラントよりも早く成熟した骨組織になると推察された。 今年度はこれまでの結果をまとめることで、次年度以降の研究をより効率的で有意義なものになるように研究を進めた。国内外の学会で発表し、有益な助言を得たため、その助言を今後の研究計画にいかしていくつもりである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、動物の飼育および実験を行う生物科学施設の増改築の工事が長期間におよび、新たな動物実験を行うことができなかったため、研究はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの解析に関しても現在継続中であり、さらなる実験を加え試料を追加する必要がある。今年度、本学にあるマイクロCTの解析ソフトを用いた解析方法を学んだため、その方法を用いて、新たな解析を加えたいと考えている。また、骨や神経に関連する抗体を用いて、インプラント周囲骨や三叉神経節の変化を検索したい。まず、インプラントと関連があり、インプラント前に行うことも多い抜歯についての検索を始める予定である。抜歯のみ行った試料も検索することで、インプラント周囲の変化も新たに捉えられるはずである。研究計画に準拠し研究を進めていく予定であるが、今年度の発表により得た有益な助言も参考にして実験を進めながら、必要があれば計画を修正していくつもりである。
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次年度使用額が生じた理由 |
生物科学施設の増改築に伴い、新たな動物実験をほとんど行わずに、これまでの試料を用いて研究を行った。今年度は、データ解析、データ保存、学会発表及び資料収集のための費用などを中心に研究費を使用した。実験に関わる物品など、今年度使用する予定であった研究費の一部を、次年度以降の解析のために使用することとした。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は目的を達成するために、新たな実験を行い、解析を進める。これまでの実験結果と新たな実験結果を踏まえて、研究が円滑に進むように研究費使用に関しても随時検討していく。実験を進めて行く過程で必要な物品や、成果をまとめていく上で有益と思われる物品や旅費に使う予定である。
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