我々はこれまでに、歯根膜組織中に再生医療に応用可能な多分化能力を有した歯根膜幹細胞が存在し、この幹細胞が3次元的な構造を有した血管を構築する能力や創傷治癒にとって必要不可欠な筋線維芽細胞への分化能力を有していることを報告してきた。今回の研究課題において、この歯根膜幹細胞を筋線維芽細胞へ分化させた際に生じる物理的な組織収縮力を利用することで、三次元的な靭帯様構造を作成することに成功した。作成した靭帯様構造は組織学的な靭帯構造と類似した、並行して整列したコラーゲン線維束を形成し、物理的な強度を有していた。本研究の成果により、将来的に歯根膜幹細胞が靭帯再生治療に応用できる可能性が示唆された。
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