研究実績の概要 |
多様化、複雑化する全身的背景により口腔カンジダ症の病態も多様化し、迅速な診断、及び適切な治療が求められる場面が増えている。除菌後の再発症例に対して、現行のカンジダ培養検査だけでは、診断法、薬剤の選択に難渋することが多い。また難治性の口腔カンジダ症について、病態解明はなされていない。近年、血液や唾液に含まれるサイトカインや腫瘍マーカーの測定が腫瘍の診断、スクリーニングに有用となる可能性が報告されている。CBA法(Cytometric beads array法)はフローサイトメトリーを用いて、容易に血液中のサイトカインを測定できる方法である。CBA 法を用いれば、唾液や血液は比較的低侵襲で採取でき、かつ繰り返し正確に数値化して採取できるため、病態を継時的に把握する上でも優れている。今年度、我々は、カンジダ症患者の唾液中のサイトカイン測定がカンジダ症診断や病態把握に有用性であるかどうかを検討するために、CBA法を用いてカンジダ患者と非カンジダ患者において7種類のサイトカイン( IFN-γ, TNF-α, IL-4, 5, 6, 10, 17A)の測定を行った。具体的な実験方法は以下にあげる。2015年6月から8月に当科外来を受診した患者のうち、クロモアガー培地によるカンジダ培養検査でのカンジダ陽性患者(n=14)、カンジダ陰性患者(n=19)よりチェアサイドで安静時唾液を5ml採取し、-80℃でCBA測定日まで保管した。極度の口腔乾燥により唾液を一定量回収できない症例、口腔清掃状態不良で歯周ポケット4㎜以上の歯周炎に罹患していた症例は検討から除外した。現在、カンジダ陽性患者とカンジダ陰性患者の6つのサイトカイン濃度のデータを鋭意解析し、加えてカンジダ患者の症例数を増やして解析中である。
|