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2016 年度 実施状況報告書

PDE1阻害剤による口腔悪性黒色腫の転移抑制機構の解明と新規治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 15K11242
研究機関三重大学

研究代表者

清水 香澄  三重大学, 医学部附属病院, 助教 (20378368)

研究分担者 村田 琢  三重大学, 医学部附属病院, 講師 (80242965)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード悪性黒色腫 / Phosphodiesterase
研究実績の概要

Phosphodiesteraseは11種類(PDE1-PDE11)が報告されており、cAMP、cGMP濃度を調整することにより様々な生理作用に関与している。2004年にわれわれはPDE1が、細胞性粘菌が分泌する物質であるDifferentiation-inducing factor (DIF)のターゲット分子であることを世界で初めて発見した。この発見により、PDE1が悪性腫瘍細胞の新しい分子標的であることを初めて導き出した。しかし、PDE1特異的阻害剤等は、現在のところ臨床応用されていない。
一方、PDE5阻害剤としてすでに広く臨床で使用されているSildenafilは、PDE1阻害作用を併せ持ち、これを悪性黒色腫の治療に応用できる可能性がある。われわれはこれまでに、Sildenafil がPDE1を阻害することで悪性黒色腫細胞の運動能を抑制することを示してきた。細胞の運動は、細胞の先端部でアクチン骨格が重合し細胞膜の形態が変化することによって起きる。そこで、sildenafilが細胞骨格に与える影響について検討した。
細胞は、当教室で樹立したヒト口腔悪性黒色腫MAA細胞を使用した。MAA細胞にsildenafilを作用させると、細胞の先導端においてアクチンの重合が抑制され、lamellipodia(膜状突起)の形成が阻害されていた。MAA細胞はPDE1を発現しPDE5を発現していないことから、sildenafilによるMAAの運動能の抑制には、PDE1の阻害を介した細胞内のcAMP濃度の上昇とlamellipodiaの阻害が関与する可能性が示唆された。また、悪性黒色腫では、低分子量Gタンパク質Rho等が、その転移において重要であることから、MAA細胞でRT-PCRを行ったところ、RhoA、RhoB、RhoCのmRNA発現が確認された。
in vivoでの転移実験においては、腫瘍を尾静脈から移植するよりも眼窩静脈叢からの移植の方がより結果が得られやすいとの知見が得られたため、眼窩静脈叢からの移植について予備実験を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

悪性黒色腫の接着能について研究を進めているが、条件設定等に予定以上の日数が掛かりやや遅れが生じている。

今後の研究の推進方策

平成29年度は、動物実験を計画しており、前年度よりその一部を先行して行っている。悪性黒色腫の接着能についての研究と並行して行っていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

細胞の接着能に関する実験において、条件設定等が困難であり遅れが生じているため。

次年度使用額の使用計画

条件設定終了後に消耗品を購入し、本実験を行う。平成29年度分と併せて使用する予定である。

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公開日: 2018-01-16  

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