今回の研究により、Phosphodiesterase(PDE)の一つであるPDE1の阻害剤が悪性黒色腫細胞の運動能を抑制する機構について解明した。当科で樹立、継代しているヒト口腔悪性黒色腫細胞MAAにsildenafilを作用させると、細胞の先導端においてアクチンの重合が抑制され、lamellipodia(膜状突起)の形成が阻害されていた。MAA細胞はPDE1を発現しPDE5を発現していないことから、sildenafilによるMAAの運動能の抑制には、PDE1の阻害を介した細胞内のcAMP濃度の上昇とlamellipodiaの阻害が関与する可能性が示唆された。
|