研究課題/領域番号 |
15K11245
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田中 晋 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (00367541)
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研究分担者 |
古郷 幹彦 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (20205371)
石濱 孝二 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 招聘教員 (30432454)
榎本 明史 近畿大学, 医学部附属病院, 講師 (70432549)
辻 忠孝 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 招聘教員 (50527231)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 脳内生理活性物質 / 顎口腔刺激 / 摂食行動 |
研究実績の概要 |
1.視床下部生理活性物質脳室内投与による摂食行動・咀嚼筋活動特性への影響について ラット(Wister系雄性 BW250-300g)の左側側脳室にガイドカニューレ(C315G Plastics One)を留置し、アンギオテンシンII投与後に誘発される口渇に対する行動反応を確認の上で行動特性実験を施行した。 側脳室内のNPYやAgRPなど弓状核において摂食亢進に働く脳内生理活性物質に拮抗すると考えられているα-MSHを投与するとNPYによる先行実験とは異なり、control条件下と比較して、摂食行動開始までの潜時は明らかに延長する傾向を認めた。さらに、単一時間における摂食量は減少し、boutを指標に評価した場合、boutの持続時間は短縮、bout数についてもそれぞれ減少する傾向を認め、摂餌行動が抑制されることが示された。摂食に関わる咀嚼運動様式についても単一時間に観察される開閉口運動の回数が明らかに減少しており、咀嚼準備期、粉砕期における咀嚼筋筋放電の周波数減少が示唆された。 2.視床下部生理活性物質による三叉神経系ニューロンの膜興奮特性変化について 上記行動生理実験と並行して、咀嚼運動発現に関わる三叉神経系ニューロンに対する脳内生理活性物質の直接作用について検討する目的で、脳幹thin slice冠状標本を用いて、赤外線透視条件下で、三叉神経中脳路核ニューロンを同定しwhole cell patch clamp recording techniqueを用いてホールセル記録を取得後、NPYを単独Bath内投与すると静止膜電位の上昇と内向き電流の形成、AHPの短縮、連続発火時のスパイク周波数上昇とニューロンの興奮性が増大する傾向が観察されたが、α-MSHをBath内投与すると膜電位や活動電位のピーク電位には有意な変化はみられず、行動生理実験の結果を支持するものと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
行動生理実験、脳幹スライス標本からの単一細胞活動記録について基礎的データを得るための諸条件は概ねそろってきたことから、他の薬剤の効果判定ならびに筋電図記録について安定した記録を得るための条件設定について次年度以降進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
視床下部生理活性物質脳室内投与による摂食行動・咀嚼筋活動特性への影響について 平成27年度に引き続きMCH, AgRPの側脳室内投与による摂食行動特性への影響について検討を行う。至適濃度についてはin vivoにおける他の実験系を参考に低濃度から高濃度にかけて検証して他の交感神経系への影響の有無も含めて検討する。さらに全ての生理活性物質について開閉口筋の活動特性変化を咀嚼準備期、粉砕器に分けて筋電図記録を用いて検討する。 視床下部生理活性物質による三叉神経系ニューロンの膜興奮特性変化について MCH, AgRPによる新生仔ラット三叉神経系ニューロンの膜興奮特性変化について濃度依存変化、生後変化を含めて検討する。細胞内通電の条件を変化させた際のスパイク発射特性、周波数依存応答特性についても合わせて検討を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度当初予定していた脳内生理活性ペプチドの内、一部について検証が行えなかったこともあり、使用予定の薬剤を次年度以降で購入することになったため
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次年度使用額の使用計画 |
行動生理実験、細胞内記録実験ともに今年度未使用の薬剤購入のために使用する予定である。
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