研究実績の概要 |
1.視床下部脳内生理活性物質脳室内投与による飲水行動特性への影響について ラット(Wistar系雄性 BW250-300gr)の左側側脳室にガイドカニューレ(C315G Plastics One)を留置して飲水行動を指標に行動生理実験を施行した。側脳室内にAgRp(1nmol/2µl)を投与すると投与後15-20分頃より、飲水行動が誘発され、control群(生理食塩水)と比較して有意に飲水開始までの時間(latency), 総飲水量(4hr)が増大することが明らかとなった。また、NPY同様にAgRp投与後多動性が観察されたが、高濃度NPY投与時には摂食行動、飲水行動ともに抑制される傾向を示したことから、AgRpは同じ弓状核から分泌されるNPYとは異なる機序で飲水行動を制御している可能性が示唆された。 2.視床下部脳内生理活性物質による三叉神経系ニューロンの膜興奮特性変化について 生後10-18日齢SD系ラットより作製した脳幹冠状スライス標本を用いて、赤外線透視条件下で同定した三叉神経中脳路核ニューロン(MTN)からWhole-cell recordingを行い、MTNの発火特性に関連する周波数依存性膜応答特性についてOrexin, NPYを対象に検討したところ、Orexinについてはhigh frequency resonance (HFR), low frequency resonance(LFR)ともにQ-value, resonant frequencyともに有意な変化を認めなかったが、NPYについてはHFRについてQ-valueの有意な上昇を認めたことから、NPYによるMTNの膜興奮性増大には、persistent sodium conductanceの変化が関与している可能性が示唆された。
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