本研究では,ヒト口腔癌の癌幹細胞を標的とした新しい診断治療法を開発することを目指し,口腔扁平上皮癌細胞(OSCC)より分離したCD133陽性細胞群の細胞・分子生物学的特性解析を無血清培養系で行った。その結果,OSCCでは陽性細胞から陰性細胞へ,あるいは陰性細胞から陽性細胞へのトランジット機構が存在し,EGFやSHHは陰性細胞から陽性細胞へのトランジットを促進していると考えられた。一方,抗癌剤や低酸素環境は陰性細胞のみを標的としており,陰性細胞から陽性細胞へのトランジットは阻害していないと考えられた。陽性細胞 OSCCの機能維持には,EGFおよびSHH経路が重要な働きをしていると考えられた。
|