研究課題
iPS細胞誘導において,新たな細胞初期化因子として証明されたGLIS1ですが,その制御・機能は全く明らかにされていません。そこで,この細胞初期化を促進する転写因子GLI-similar 1(GLIS1)の詳細な制御機構,分子機能,そして,口腔がんにおける機能的・臨床的意義について検討し,がん診断・治療法開発への応用展開することを目的として,本申請研究を開始しました。本年度までに,口腔がん細胞株HSC2に加え,肺がん細胞A549や乳がん細胞MDA-MB-231にGLIS1発現プラスミドベクターを遺伝子安定導入を試みました。最初に,MDA-MB-231に3ラインの導入株が得られたので,細胞機能に関しての実験を開始しました。MDA-MB-231のGLIS1強制発現株では対照株に比べて,細胞増殖能は明らかに抑制されたが,創傷治癒実験による遊走能は明らかに増加していた。一方,ノンコーティング培養皿を用いた培養により,Sphere形成能が向上している様子が観察されました。一方,siRNAによる抑制実験では,酸素分圧にかかわらず細胞増殖脳が観察されました。今後,様々な歳暮株での再現性,普遍性を確認予定である。さらに,RNAシークエンスの結果から,低酸素環境下において,p53シグナルの抑制や脂肪生成,フォスファチジルイノシトールシグナルや活性酸素応答の活性化などへの関与が示唆されました。同データのさらなる詳細な解析を進め,分子生物的,生化学的解析により検証し,論文作成に取り掛かります。
2: おおむね順調に進展している
細胞における機能などの概要がRNAシークエンスで明らかとなり,本年度中には論文作成に向けて詰めの実験に取りかかれる。
引き続き,GLIS1導入株の作製,およびそれらを用いた細胞生物学的および生化学的解析,網羅的遺伝子発現解析を進めます。特に,RNAシークエンス結果を詳細に解析し,解析結果のビジュアル化に努めます。そこから見出された機能についての検証実験を行います。また,ゲノム編集によりGFPタグを挿入したHIF-2αを用いて,AP-1(JUNやFOS)との相互作用に関して,生化学的な解析を行い,論文作成を進めます。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)
Experimental Cell Research
巻: in press ページ: -
doi: 10.1016/j.yexcr.2017.03.035.
Journal of Stem Cell Research & Therapy
巻: 555 ページ: 73-78
doi: 10.1016/j.neulet.2013.09.009.