研究実績の概要 |
研究に先立ち,H27年度は本研究課題を九州大学病院臨床倫理審査委員会に申請し「介入を伴う観察研究」の承認を得た(顎変形症における咀嚼筋の分子病理学的検討;許可番号27-21)。その後,コントロール群を含めて18例の咬筋組織の採取を行い凍結保存を行い、さらに農学研究院との共同研究で抗MyHC抗体を使用し予備実験を行った。抗体のヒト筋組織に対する染色性が確認できたため、H28以後検体数を増やすとともに、同抗体を用いて凍結保存した患者検体の筋組織染色を開始した。 H29年度は、まず下顎の偏位が頭部傾斜を含む姿勢に及ぼす影響を検討した。その結果、下顎の偏位は頭部の傾斜や脊柱の側弯等の姿勢に悪影響を与え、それらは顎矯正により改善が期待できることが示唆された。本結果は第64回日本口腔科学会中国・四国地方部会で発表するとともに英文誌に投稿した(Nakashima A, Yamada T, et al. Journal of Oral and Maxillofacial Surgery, Medicine and Pathology, 2018 in press)。 下顎非対称患者の筋検体が31例に達したため、最終年度にデータの集計を行った。臨床所見として下顎のskeletal分類、CT画像上の咬筋断面積やCT値と筋組織のtypeとの関連性を検討した。下顎前突(skeletal III)を伴う非対称症例では薄くtype I優位の筋特性を有する傾向にあり、skeletal II症例の偏位側ではtype IIの割合が多くshort faceに類似した特性を有する傾向にあった。本研究結果は第62回日本口腔外科学会総会にて発表した。
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