研究課題
これまでの研究で、β-グルカンであるcurdlanが、破骨細胞前駆細胞に特異的に発現しているdectin-1受容体を介して、破骨細胞分化を抑制すること、その分子メカニズムとして、spleen tyrosine kinase (Syk)タンパクの分解が関与することを見出した。本課題では、curdlanによるSykタンパクの分解機構を解明することを目的とした。破骨細胞前駆細胞RAW264.7細胞のdectn-1過剰発現株を樹立し、curdlanを添加して培養したところ、Sykタンパクの発現が著明に減少した。この現象は、遺伝子発現の抑制を伴わないことから、細胞内分解系による制御を想定した。そこで、bafilomycin A1で前処理を行い、オートファゴソームとリソソームの融合を抑制したところ、curdlan添加によるSykタンパクの発現減少は回復し、Sykタンパクの分解が、オートファジー・リソソーム系に依存している可能性が示唆された。このことはcurdlan添加により、オートファゴソーム・オートリソソームのマーカーであるLC3-IIおよびオートライソソームの形成が誘導されることからも支持された。さらに、このバルク分解系の誘導に、PI3-kinaseの活性化と小胞体ストレスが関与している可能性が示唆された。 一方で、sucroseおよびmethyl-β-cyclodextrinの前処理で、curdlan添加によるSykの分解が部分的に回復した。このことから、分解系の誘導にはclathrin、caveolin、もしくは脂質ラフトを介したエンドサイトーシスが関与していることが考えられた。 以上の結果から、dectin-1を介したcurdlanによる破骨細胞分化抑制に、curdlan-dectin-1の内在化とオートファジー・リソソーム系の活性化が関与していることが明らかとなった。
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Journal of Cellular Biochemistry
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0.1002/jcb.26906
http://www.kyu-dent.ac.jp/research/lecture/infection_molecule