研究課題/領域番号 |
15K11269
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
代田 達夫 昭和大学, 歯学部, 教授 (60235760)
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研究分担者 |
韓 仁陽 (清本聖文) 昭和大学, 歯学部, 助教 (00712556)
近藤 誠二 昭和大学, 歯学部, 准教授 (10432634)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 下歯槽神経損傷 / マイクログリア / アストログリア / 三叉神経脊髄路核尾側亜核 / 機械的痛覚過敏 / 神経因性疼痛 |
研究実績の概要 |
下歯槽神経損傷後に生じるオトガイ部の知覚障害への中枢神経系の関与について,下歯槽神経損傷モデルを用いて検討した。実験にはSprague-Dawley系雄性ラットを用い,正常なラット(Naïve ) 1匹と下歯槽神経を損傷させたラット(model)および偽手術を行ったラット(sham) の3グループに分けた。ラットの下歯槽神経を縫合糸で結紮することで下歯槽神経に損傷を加えた。model群およびsham群、各9匹のラットのオトガイ部皮膚にvon Frey filamentで機械刺激を与え,頭部逃避反射閾値を測定することで術後の経日的な行動学的変化を42日間観察した。また,三叉神経脊髄路核尾側亜核(Vc)におけるマイクログリア,アストログリアの活性化を解析するとともに,c-fos抗体陽性細胞の発現量を定量的に評価してニューロンの興奮状態を解析した。その結果,modelおよびshamにおける機械的刺激に対するオトガイ部皮膚への逃避反射閾値は術後1日目及び2日目より共に低下を示したが,有意差は認めなかった。しかし,model群の逃避反射閾値は術後3日目から28日目において有意に低い値を示したなお,正常側のオトガイ部への械刺激に対する逃避反射閾値には両群間に有意差を認めなかった。また,model群のVc領域では術後5日目でマイクログリアおよびアストログリアの活性化が認められ,c-fos抗体陽性細胞の発現量も有意に高い値を示した。しかし,42日目ではmodel群とsham群の逃避閾値には有意差はなく,また,マイクログリア,アストロサイト,c-fos抗体陽性細胞の発現量ついても有意差を認めなかった。下歯槽神経損傷に伴うオトガイ部の痛覚過敏の慢性化には中枢神経系におけるマイクログリア-アストログリア-ニューロン間の相互作用が関与していると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験動物が途中で死んだり、また、免疫染色による染色不良等により試料が不足し、統計解析を行うために十分なデータが得られていない。そこで,追加実験を予定しているため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では十分なデータを得るために実験動物の数を増やして追加実験を行うとともに、専門学識を有する研究協力者に支援を求め,抗体の種類を変更するなど,適切に軌道修正を行うことで,研究を予定通り終了させることが可能であると考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験動物が観察期間中に死んだり,免疫染色による染色が不十分であったことから,データが不十分であった。そこで,実験方法や免疫染色に用いる抗体等を見直してから,再度実験を再開する必要があると判断し,実験を中断していた。そこで,次年度に追加の動物実験を行いデータを揃えて論文を作成・投稿するために研究費を使用する予定である。
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