当講座ではこれまで,口腔扁平上皮癌細胞のプロテオーム解析により,口腔癌の新規診断および治療標的の網羅的解析を行ってきた.このうち,口腔扁平上皮癌において低発現を示すAMBPを今回の候補分子として,口腔癌におけるAMBPの臨床的意義の解明および機能解析を目的に実験をすすめてきた. 前年度までに,口腔扁平上皮癌細胞SASにAMBP遺伝子を導入してAMBP過剰発現細胞株を作製し,口腔癌細胞におけるAMBPの機能解析を行い,AMBPが口腔癌細胞の浸潤および遊走能に関与すること確認した. また,舌扁平上皮癌臨床検体95例を用いてAMBPの免疫染色を行い,AMBPの低発現が頸部リンパ節転移の危険因子であり,予測因子として利用できる可能性を見出した.またAMBPの低発現は予後不良(5年生存率の低下)の危険因子でもあり,予後因子としても有用である可能性が示唆された. 結果について学会発表を行った後,研究結果をまとめ,International journal of oncologyへ論文投稿し,Acceptされている.
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