研究課題
本研究は,初年次に抗炎症作用が報告されている植物性化学物質,および口内炎に対し適用があると報告されている漢方薬を用いて活性酸素種 (ROS)であるスーパーオキシド,ヒドロキシルラジカルに対する抗酸化作用を解析を行った。その結果,植物性化学物質であるαグルコシルヘスペリジン(Hsp-G),αグルコシルルチン,クロロゲン酸のスーパーオキシドに対する IC50はそれぞれ0.258,0.195,0.004 mg/mLであり,ヒドロキシルラジカルに対するIC50はそれぞれ0.285,0.077,0.282 mg/mLであった。また,漢方薬である半夏瀉心湯,茵蔯蒿湯,黄連湯のヒドロキシルラジカルに対するIC50は0.793,0.729,0.99 mg/mLであった。現在,口内炎に関わるROSはスーパーオキシドが主役とされているがこれまでの報告ではスーパーオキシドに対する消去剤の口内炎に対する効果は低い。従って,次年度はヒドロキシルラジカルに対してより抗酸化能を有すと考えられる試料を用いてin vivo における抗癌剤誘発性口内炎に対する効果を検討していく予定である。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画では脂溶性抗酸化物質についても活性酸素種に対する抗酸化活性を検討する予定であったが,脂溶性抗酸化物質を溶解させるためのバッファー自体に活性酸素種に対する消去作用が認められたため苦戦したが,予定されていたその他の物質においては十分な抗酸化活性を認めれことができたため次年度における実験へと進めることであると考えられるため,これらの成果は今後の口内炎に対する抑制効果を検討する種に十分貢献可能なけっかであり,おおむね順調に進展していると自己評価する。
平成27年度に同定した各抗酸化物質のIC50より,ヒドロキシルラジカルに対する抗酸化活性に着目し,in vivo における抗癌剤誘発性口内炎に対する抑制効果を検証するため,モデル動物として確立したハムスターを用いて実際の効果を精査する。
計画当初に予定していた備品であるWIN-RAD ESR analyzing systemが,予定されていた予算額が減額されたため購入できなかったため,余剰予算が生じたため,翌年度予定している動物実験における予算に追加予定である。
余剰金は動物実験に追加し,実験動物費用として40万円,その他消耗品費として20万円,また研究成果発表として国内,国外旅費として30万円,論文投稿料および英文校閲費として30万円の計120万円を予算として使用する予定である。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
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