本研究課題の目的は,抗酸化物質の事前処置による癌化学療法に併発する口内炎の予防・増悪抑制に関わる効果の解析である。今回用いた,水溶性抗酸化物質であるαグルコシルヘスペリジン,および口内炎への効能が表記されている漢方薬である半夏瀉心湯,茵ちん蒿湯,黄連湯はすべて良好な活性酸素消去活性を示した。これら抗酸化物質を,抗癌剤処方以前より実験動物に投与することで,口内炎の増悪は有意に抑制された。しかしながら,コントロールと比較し,生じる口内炎の最大面積は抑制されたが,回復期間の短縮は認められなかった。今後は,脂溶性抗酸化物質などとの組み合わせも視野に入れ,治療期間の回復を目指す必要性がある。
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