研究課題/領域番号 |
15K11276
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研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
小澤 重幸 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 講師 (40434394)
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研究分担者 |
近藤 忠稚 神奈川歯科大学, 歯学部, 非常勤講師 (00587727)
前畑 洋次郎 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 講師 (80410009)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | CXCL14 / セツキシマブ |
研究実績の概要 |
これまでにEGF受容体阻害剤であるセツキシマブは、KRAS、BRAF、PIK3CA等に遺伝子変異が存在する症例に対して無効であることが報告されてきた。しかしながら、近年、セツキシマブの抗腫瘍効果の判断基準に新たな展開が見出された。セツキシマブはEGF受容体を標的とするIgG1抗体であり、NK細胞による抗体依存的細胞障害性をことが報告された。平成28年度はセツキシマブの抗腫瘍効果へのNK細胞の関与を解明するため、抗アシアロGM1抗体を用いて検討を行うことを目標とした。抗アシアロGM1抗体はNK細胞の細胞膜上に発現している糖脂質のアシアロGM1を認識する抗体であり、マウスに投与することで、体内のNK細胞を除去することが可能となる。実際にヌードマウスに抗アシアロGM1抗体を投与し、NK細胞欠損マウスを作製後、腫瘍細胞を移植し、セツキシマブによる抗腫瘍効果が減弱するかどうかを検討した。実験群としては、NK細胞を除去せず、① セツキシマブの投与を行っていないもの、② 行ったもの、NK細胞除去後、③ セツキシマブの投与を行っていないもの、④ 行ったもの、の4群とした。実験結果として、抗アシアロGM1抗体によってNK細胞を除去するとセツキシマブの効果が減弱するような傾向はみられた。しかしながら、NK細胞を除去することによって移植直後の腫瘍細胞の定着率が大きく異なってしまい、抗アシアロGM1抗体を投与した群と投与していない群の腫瘍サイズの比較が困難なことであった。ヌードマウスへの定着した腫瘍サイズが明らかに異なるため、大きな腫瘍と小さな腫瘍へのセツキシマブの効果を検討してしまう可能性が懸念され、まずはin vitroのデータ収集が好ましいと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験自体は予定通り進行していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
実際にNK細胞除去後の腫瘍細胞移植によるセツキシマブの効果判定は困難と考えられる。そこで現在遂行している研究として、癌細胞からCXCL14をノックアウト及びノックアウトした細胞へのCXCL14強制発現細胞を作製し、NK細胞との供培養による反応を検討することも視野においている。実際に細胞は作製済みであり、NK細胞活性に関与する遺伝子が、ノックアウト細胞と強制発現細胞で異なることは確認済みである。
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次年度使用額が生じた理由 |
H28年度は論文執筆におもに時間がかかり、実際の研究の進行が遅れたと考えられる。
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次年度使用額の使用計画 |
H29年度は、頭頚部扁平上皮癌細胞がCXCL14刺激によって分泌するNK細胞活性に関わる遺伝子群を網羅的に解析することに重点を置く。さらには、セツキシマブのNK細胞活性に関与するかどうかについて併せて検討を行う予定である。
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