研究課題
癌治療において再発・転移の有無は重要な診断情報であり、その後の治療方針に大きく影響する。我々はこれまで、循環血清中の多くのfree DNA、中でも、腫瘍細胞のfree DNAの特定に成功し、再発・転移の早期診断や治療の効果判定に役立てている。現在までに行われた口腔扁平上皮癌におけるヘテロ接合性消失(LOH)に関する研究から、多くのマイクロサテライト領域が判明している。このLOHの局在情報を癌細胞の指紋と考え、循環血清中の腫瘍free DNAの検出を行う研究を可能とした。さらに、口腔扁平上皮癌患者から抽出したDNAを用い、DNAマッピングアレイ解析を用いた全ゲノム上のLOHとコピー数異常の有無を検索し、その結果、数百~数千の口腔癌に関与する新規未知癌抑制遺伝子座位が一度に同定することを可能とした。DNA Mappingアレイとは、チップ上にプローブとしてSNPs配列を合成したアレイで、ヒト全染色体にわたる約11万個のSNPを2枚のアレイで解析できる。また、Mapping 10K 2.0アレイは、約1万 個のSNPを1枚のアレイで解析可能である。これらのゲノム全体を網羅し、Loss of heterozygosity(LOH)や染色 体コピー数の解析および癌関連遺伝子研究に応用できる。平成27年度は口腔扁平上皮癌患者から抽出したDNAならびにmRNAを用い、全ゲノム上のゲノムコピー数異常の解析ならびに同座位に存在する転移関連遺伝子候補をリストアップし、候補遺伝子のmRNA発現状況を定量的Real-time PCR法により検証した。平成28年度は非扁平上皮癌(腺系癌・悪性黒色腫など)および白板症(前 癌病変)を用いて体内に潜む微少転移細胞や転移の発現パターンの相違の役割を考察した。平成29年度は本研究で得られた研究成果を学会発表・論文発表・検体試料提供患者へ結果を報告した。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件) 図書 (2件)
The Bulletin Tokyo Dental College
巻: in press ページ: in press