研究課題/領域番号 |
15K11287
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小嶋 郁穂 東北大学, 歯学研究科, 助教 (80447169)
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研究分担者 |
飯久保 正弘 東北大学, 歯学研究科, 講師 (80302157)
阪本 真弥 東北大学, 大学病院, 講師 (90157686)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 頸部リンパ節転移 / MR imaging |
研究実績の概要 |
頭頸部癌の頸部リンパ節転移において画像診断の果たす役割は大きいものの、サイズの小さなリンパ節の微小転移を検出することは困難である。我々は頸動脈プラークイメージングに用いられるblack-blood MR imaging(BB-MRI)は、頸部リンパ節の輪郭や内部性状を明瞭に描出していることに着目した。本年度のBB-MRIの撮像には、前年度まで検討を重ねた高速3D撮像であるVolume Isotropic TSE Acquisition(VISTA)法に、より安定したblack-blood効果を目的とするMotion Sensitized Driven Equilibrium(MSDE)プリパルスを付加したMSDE-VISTA法を用いた。このMSDE-VISTA法の画像について、頸部郭清術後に転移ありと病理診断されたリンパ節のうち、節外進展の有り・なしを強く疑わせる画像所見と病理組織学的所見と対比して、画像所見の診断精度を求めた。 節外進展の感度は、通常臨床に用いられているT1強調画像 50%、造影T1強調画像 100%であるのに対し、MSDE-VISTA法83%、造影MSDE-VISTA法100%であった。特異度はT1強調画像100%、造影T1WI 70%に対し、MSDE-VISTA法100%、造影MSDE-VISTA法80%であった。正診率は、T1強調画像81%、造影T1強調画像81%に対し、MSDE-VISTA法93%、造影MSDE-VISTA法88%であった。 以上の結果より、転移リンパ節の節外進展の画像診断の感度は造影後が高いこと、特異度は造影前が高いことが明らかとなった。MSDE-VISTA法と通常用いられるT1強調画像とでは造影前後ともにMSDE-VISTA法の診断精度が高く、リンパ節転移の節外進展の診断に有用であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究室に設置されている顕微鏡が故障し、病理組織学的検討について遅延が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究遂行中に造影前後の画像を差分することにより、さらに診断精度向上の可能性が考えられた。今後は画像解析ソフトを用いた新たな画像診断パラメータの模索/開発を行うことを保留し、差分画像での解析を進めることを優先する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究室に設置されている顕微鏡が故障し、画像解析ソフトの購入資金を新たな顕微鏡購入資金の一部に流用したため、差額が未使用額として生じた。 研究計画(画像解析ソフトを用いた客観的指標の検討)に見直しが必要となったため、補助事業期間を延長し、未遂行となった病理組織学的検討の実験および研究報告に用いる予定としている。
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