研究課題
頭頸部癌の画像診断に対して、頸動脈プラークの性状や内部構造を詳細に描出するblack-blood MR imaging(BB-MRI)を応用した。BB-MRIの撮像には、前年度まで検討を重ねたVolume Isotropic TSE Acquisition(VISTA)法にMotion Sensitized Driven Equilibrium(MSDE)プリパルスを付加したMSDE-VISTA法を用いた。このMSDE-VISTA法の画像について、造影前後の差分画像の有用性を検討した。今年度は、より高い診断精度として画像診断法を確立するため、前年度までの検討事項を組み合わせる検討を行った。転移リンパ節の病理組織学的所見としてみられる壊死を主体とした組織欠落像は、MSDE-VISTA法では造影不領域として認められ、差分画像であるGd強調画像ではより信号低下部位としてコントラストが明瞭に区別された。リンパ節の節外進展の感度は造影MSDE-VISTA法で優れていたが、節外進展の形態学的な病理組織所見を最も描出していたのは非造影MSDE-VISTA画像であった。したがって、造影MSDE-VISTAにより検出した転移疑いのリンパ節に対して、非造影MSDE-VISTAを組み合わせて特異的な所見の有無を評価することでより診断精度の向上に寄与することが示された。顎骨浸潤のにおいても同様に造影MSDE-VISTAが最も感度が優れていた。進展範囲やその形態については病理組織学的な一致が難しいものの、非造影MSDE-VISTAが最も一致している可能性が高いと思われた。MSDE-VISTA法はリンパ節転移、口腔癌の顎骨浸潤の画像診断において、造影前後の両画像と差分画像を使用することで診断に有用であることが示唆された。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)
Oral Diseases
巻: 25 ページ: 117-125
10.1111/odi.12941.
European Archives of Oto-Rhino-Laryngology
巻: 275 ページ: 1613-1621
10.1007/s00405-018-4965-9
Internal Medicine
巻: 57 ページ: 1929-1934
10.2169/internalmedicine.0329-17.