DEK遺伝子の発現を、岐阜大学病院で採取された臨床標本(乳頭腫 、上皮内癌、扁平上皮癌)について、さらに症例数を増やし、免疫組織染色を行い、DEKの発現率を評価した。DEK遺伝子の発現は乳頭腫、上皮内癌、扁平上皮癌の順に統計学的に有意に上昇した。また、進行癌では組織学的悪性度によって、悪性度とDEK発現は有意に比例した。ヒト口腔扁平上皮癌において、DEK遺伝子の発現増加は重要な役割を果たすことを突き止めた。そのメカニズムを探るべく、化学発癌口腔扁平上皮癌発癌モデル、およびドキシサイクリンDEK発現誘導トランスジェニックマウスを用いた動物実験を行った。DEKの発現を上昇させると、腫瘍形成の頻度や数が有意に上昇し、特に組織学的には腫瘍細胞の悪性転化に関与していることが示唆された。DEK発現上昇群とコントロール群での腫瘍増殖能は差がなく、アポトーシスにも差がなかった。そのため、現在(平成28年4月現在)老化などDEKに関連していると言われるメカニズムを解析している。
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