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2016 年度 実施状況報告書

口腔扁平上皮癌におけるHPV-16E6遺伝子による癌幹細胞形質の獲得機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K11290
研究機関広島大学

研究代表者

杉山 勝  広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 教授 (70187681)

研究分担者 重石 英生  広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 助教 (90397943)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードHPV16 / 癌幹細胞 / 口腔癌
研究実績の概要

(1)癌幹細胞形質との関係:HPV16 E6/E7陽性の扁平上皮癌細胞Caskiを用いて、スフィアアッセイを行った。その結果、Caski細胞は多くの球状コロニーを形成したが、HPV陰性のHTB-31細胞はコロニーを形成しなかった。また、球状コロニーを形成した細胞は、癌幹細胞マーカーのCD44及びALDH1の高発現を示した。さらに、Caski細胞のスフィアコロニー形成はE6/E7 siRNA knockdownにより抑制されたことから、コロニー形成にはE6/E7が重要な役割を持つことが示唆された。
(2)口腔および咽頭含嗽サンプルを用いた口腔内HPV16 感染の検討:94人の健常者から得られた口腔含嗽および咽頭含嗽サンプルを用いて、HPV16 DNAの発現をPCR法で検索した結果、HPV16陽性率は、咽頭含嗽サンプルでは28.7%、口腔含嗽サンプルでは16.0%であった。また、口腔含嗽サンプルのHPV16感染率は、女性が男性よりも有意に高かった。さらに、中咽頭サンプルのHPV16コピー数は、口腔サンプルよりも有意に高かった(Shigeishi and Sugiyama. J Appl Oral Sci, 2016)。
(3)口腔内HPV感染のリスクファクター:健常者の口腔内HPV感染のリスクファクターを同定するためにメタ解析を行い、オーラルセックスと喫煙が重要なリスクファクターであることを明らかにした(Shigeishi and Sugiyama. J Clin Med Res, 2016)。さらに、HPV陽性口腔癌の分子生物学的特徴について検討し、口腔癌におけるHPV DNAの陽性率は6.0~27.5%, E6, E7 mRNAの陽性率は数%であることから、HPV関連口腔癌で、E6, E7の安定高発現を介さない癌化が示唆された。(重石英生、杉山 勝、口腔衛生学会雑誌、印刷中)

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

含嗽サンプルを用いた疫学研究から、男性がHPV16 感染の危険因子の一つであることが明らかとなった。また、口腔と比較して中咽頭でのHPV16陽性率が高いことは、中咽頭癌にはHPV関連癌が多いことに関連していると考えられた。

今後の研究の推進方策

①HPV16陽性扁平上皮癌細胞におけるHPV16 E6 knockdownの影響の検討
HPV16 E6 siRNA発現ベクターを用いて、HPV16陽性扁平上皮癌細胞に遺伝子導入を行い、自己複製能、分化能について検討する。これにより、HPV16 E6の癌幹細胞形質獲得への関与を明らかとする。さらに、HPV16 E6を knockdownした細胞を用いて、抗癌剤により誘導されるアポトーシス細胞の検出を行い、HPV16 E6がアポトーシスに与える影響を検討する。

②口腔扁平上皮癌患者および健常者の口腔内擦過物を用いたHPV DNAの検出と遺伝子型の同定
広島大学大学院医歯薬保健学研究院倫理委員会による承認の下で、口腔癌患者および健常者の口腔内および咽頭部から擦過物を採取し、HPVの検出および遺伝子型の同定を行い、HPV感染と臨床病理学的指標との関係を検討する。

次年度使用額が生じた理由

HPV16ノックダウン細胞を作成する際に使用した試薬が予定金額を下回ったため。

次年度使用額の使用計画

次年度使用額については、引き続いてノックダウン細胞の培養試薬やHPV DNA発現検索のためのPCR用試薬の購入に充てる計画である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Human Papillomavirus (HPV) 感染と口腔癌の関係について -最近の研究からー2017

    • 著者名/発表者名
      重石英生、杉山 勝
    • 雑誌名

      口腔衛生学会雑誌

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Risk factors for oral human papillomavirus in healthy individuals: A systematic review and meta-analysis.2016

    • 著者名/発表者名
      Shigeishi H, Sugiyama M
    • 雑誌名

      J Clini Med Res

      巻: 8 ページ: 721-729

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Higher prevalence and gene amplification of HPV16 in oropharynx as compared to oral cavity.2016

    • 著者名/発表者名
      Shigeishi H, Sugiyama M, Ohta K, Rahman MZ, Takechi M.
    • 雑誌名

      J Appl Oral Sci

      巻: 24 ページ: 397-403

    • 査読あり
  • [学会発表] 口腔と中咽頭におけるHPV16感染のリスクファクターの検索2016

    • 著者名/発表者名
      重石英生、杉山 勝、太田耕司、西 裕美、武知正晃
    • 学会等名
      第26回日本産業衛生学会全国協議会
    • 発表場所
      京都市
    • 年月日
      2016-09-08 – 2016-09-08
  • [学会発表] Association of clinicopathological factors with HPV16 infection in oral cavity and oropharynx.2016

    • 著者名/発表者名
      Shigeishi H, Sugiyama M, Ohta K, Nishi H, Takechi M
    • 学会等名
      第27回日本臨床口腔病理学会
    • 発表場所
      広島市
    • 年月日
      2016-08-12 – 2016-08-12

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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