研究課題/領域番号 |
15K11300
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
山本 一彦 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (20243842)
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研究分担者 |
國安 弘基 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (00253055)
桐田 忠昭 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (70201465)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 長鎖ncRNA / 口腔扁平上皮癌 / 転移 |
研究実績の概要 |
本年度は、long non-coding RNA (lncRNA)について検討を行った。 大腸癌において肝転移との相関が報告されている 10種のlncRNAのうちNR_036537 (RAB6C antisense RNA 1), NR_036580 (DPP10 antisense RNA 1)およびNR_002795 (HOXA11 antisense RNA) (Chen D et al, Cancer Med, 2016)の発現を検索した。 高転移性口腔扁平上皮癌細胞株HSC3では低転移株HSC4に比較しそれぞれ6倍、8倍、4.5倍のmRNA発現がRT-PCRで認められた。また、同RNAのターゲット遺伝子とされるNQO2 (NM_000904)の発現を検討すると、HSC3ではHSC4の約55%に発現が低下していた。 ヒト口腔扁平上皮癌の病理組織標本を削り出して抽出したRNAを用いた検討では、NR_002795はリンパ節転移陽性例5例では陰性例8例の約3倍の発現を示し、NQO2発現は約63%に低下していた。 lncRNAはネットワークをなして遺伝子発現に影響を与えているとされているが、今回検討した3種のlncRNAは大腸癌でも肝転移症例で高発現を示しており、癌抑制性に作用するNQO2発現を抑制することにより転移を促進すると考えられている。同様の変化が口腔扁平上皮癌でも認められ、口腔癌においても高転移能症例のマーカーとなる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
長鎖ncRNAが口腔扁平上皮癌の転移に関連する遺伝子発現への影響について一定の成果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に特に変更はなく、長鎖ncRNAが口腔扁平上皮癌における種々の遺伝子発現に及ぼす影響についてさらに検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品の購入が予想より少ない費用でまかなえた。
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次年度使用額の使用計画 |
研究計画自体には大きな変更はなく、細胞培養は標本作製に必要な試薬や消耗品、種々の解析に必要なアセイシステムやソフトの購入に充てる。
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