研究課題
Malic enzyme 1 (ME1) は、癌細胞においてenergy metabolism、redox cycle、epithelial-mesenchymal transition (EMT) に関与しており、口腔扁平上皮癌(OSCC)治療の分子標的になりうると考えられる。そこで今回、OSCCにおけるME1の役割について検討した。まず、ME1の発現をOSCCにおいて免疫組織化学的に検討したところ、多様なパターンで細胞質に陽性を示し、T因子、N因子と臨床stageとの間に有意に相関が見られた。また、ME1の発現は患者の予後と有意の相関がみられた。次にHSC3細胞を用いたin vitro の実験においてME1をknockdownすると、①glucoseの存在下でHSC3細胞の増殖を抑制した。②wound healing assayにおいてproliferationを抑制した。③in vitro invasion assay においてinvasion を抑制した。④EMT associated gene product を変化させEMT 抑制に働いた。またPKM (glycolysis)、G6PD (PPP)、ACC (TCA) の蛋白レベルを増加させたが、GLUD1 (glutaminolysis) の蛋白レベルは変化させなかった。⑤stem cell activityのマーカーであるALP activityを低下させ、glutamine のloadはALP activity を増加させた。⑥CD44とnanogのmRNAの発現を低下させたが、glutamine をloadするとこれらは増加した。⑦glucoseの非存在下でglutamine を添加してもHSC3細胞の増殖とlactate産生は抑制された。⑧GSH/GSSH比を低下させmitochondria 領域が増大した。最後に BALB/cSlc-nu/nuマウスにHSC3細胞を接種したモデルにおいて、lanthanide は腫瘍の増殖を抑制し、マウスの生存期間を延長した。以上の結果より、ME1はlactate fermentation を増加させ、redox status を維持し、stemness とEMTを促進することによりOSCCの増殖を促進することが示唆された。したがって、ME1はOSCC治療の有用な分子標的となりうることが示された。
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Cancer Sci
巻: - ページ: -
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Oral Oncol
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