研究課題/領域番号 |
15K11305
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高橋 哲 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (60226850)
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研究分担者 |
山内 健介 東北大学, 歯学研究科(研究院), 講師 (10364150)
清水 良央 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (30302152)
向井 敏司 神戸大学, 大学院工学研究科, 教授 (40254429)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 生分解性 / マグネシウム合金 / 機械的特性 / 分解特性試験 / 細胞毒性 / 生体安全性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は金属性材料の生体遺残の問題と吸収性材料の強度不足を解消するため、生分解性マグネシウム合金 をもちいた生体吸収型金属による次世代型顎骨再建法を開発するものである。研究分担者の向井らは、本目的にあったメッシュを開発した。本メッシュの機械的特性、すなわち、3点曲げ試験、引っ張り試験、ガイド曲げ試験により、良好な特性をもった合金メッシュの開発に成功した。次に分解特性試験(in vitro)を行い、疑似体液および培養液を用い、分解特性を調べ、この点においても臨床で応用可能な分解特性を持ったメッシュ合金のいくつかの試作に成功した。現在は、in vitroの含有元素の細胞毒性についての検討を、線維芽細胞(L929)を用い,MTT assayにより行っている。さらに in vivo試験において、ラット背部皮下移植を行い、その生体安全性と分解挙動試験を行っている。これまで in vitroの細胞毒性については、その毒性は認められず、生体材料として十分もちいることができることを検証した。またin vivoの生体安全性試験においては、分解時、水素が発生することが明らかになった。現在、皮下への植立の条件を変えて、気体の発生がどのようにして起こり、またその気体が生体においてどのように吸収されるかということ、また気体の発生を最小限に抑えるために、合金の組成および形状をどのようにすればよいのかについて、詳細な検討を重ねているところであり、生体材料としてのマグネシウムの開発でもっとも重要な段階に入っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
機械的な特性や、分解特性試験は満足のいくものであるが、上記のようにin vivoの生体安全性試験においては、分解時、水素が発生することが明らかになった。生分解性マグネシウムが分解の過程で気体を発生すると、臨床応用においては重大な合併症に繋がる可能性があり、分解で気体の発生を最小限に抑える研究が急務である。in vivoでのマグネシウム合金による骨造成の実験に進む前にぜひともこの点を克服して行きたい。
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今後の研究の推進方策 |
まずは上記のように、気体の発生の少ない、生分解性マグネシウム合金の開発を急ぐ。また気体の発生を最小限にするようなメッシュ構造の形状を検証する。その上でラットを用いた臨床応用実験を進めていく。ラット頸骨骨欠損モデルを作成し、生分解性マグネシウム合金を骨欠損部に適合させ、2, 4, 8, 12週で観察を行う。肉眼的な観察および,マイクロCTによる評価、非脱灰標本による骨の形成状況の評価を粉って行く。ラット頸骨での実験を遂行したのち、イヌなど大型動物での臨床応用動物実験を考えている。
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