骨再生に関しては低濃度BMPで骨再生を可能とすべく、様々な検討をおこなった。疎水化多糖ナノゲル(CHPナノゲル)の徐放化による成長因子BMPの骨形成能への影響の検討をおこなった。ラット異所性骨形成モデルを用いて、β-TCPを細胞の足場として評価した。1μgまでrhBMP-2の濃度を減らすことが可能であった。BMP-2にナノゲルを複合化させ、凍結乾燥させることで低濃度のBMPでも骨誘導され、BMP-2/ナノゲル複合体含有β-TCPは臨床応用に際しても安全で有用な骨補填材となる可能性が示唆された。同時に多糖ナノゲル架橋の有無による骨形成の違いも検討したが、材料の吸収過程に問題が生じ、材料形態を変更する必要があると思われた。 また、老齢ラット(1年齢ラット)における低濃度BMP-2/ナノゲル複合体含有β-TCPの異所性骨誘導の検討を行った。どの群でも新生骨面積の減少を認め、特にナノゲル使用群で骨形成量が低下し、ナノゲルの徐放効果で、骨形成のピークが遅く現れた可能性が考えられた。老齢ラットにおいては徐放化するだけでは十分な結果は得られなかったため、幹細胞などの細胞因子を導入させる必要があると考えられた。 そこで、脂肪由来幹細胞、BMP、RANKLに結合するOP3-4ペプチドを併用して用いることで骨形成を促進させることができるかを評価した。OP3-4ペプチドを用いることでin vitroで骨形成促進傾向にはあったが、有意差を持って促進されなかった。また、ラット異所性骨形成モデルを用いて、β-TCPを細胞の足場として以前と同様に評価したが、骨形成は促進されなかった。 粘膜再生に関しては脂肪由来幹細胞、自己フィブリン(PRP)、コラーゲンシートを用いてマウスで評価している途中であるが、角化上皮が対象群と比べて厚い組織が形成されている結果が得られている。
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