研究課題/領域番号 |
15K11310
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
大井 一浩 金沢大学, 大学病院, 講師 (90451450)
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研究分担者 |
中村 博幸 金沢大学, 医学系, 准教授 (30542253)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 顎矯正手術 / 上気道通気状態 / CT / PSG / 睡眠呼吸障害 |
研究実績の概要 |
顎矯正手術の周術期における上気道通気状態シミュレーションによる気道通気状態の解析を行った。対象は金沢大学附属病院歯科口腔外科で顎変形症と診断され、顎矯正手術が行われた患者とした。本年は術前の顎顔面3DCT検査を行い,CTデータをDICOM形式にて保存し、3次元画像構築ソフト(INTAGE Volume Editor,KGT社製,東京)を用いて上気道の抽出を行い、表面形状データとしてSTL化し、熱流体解析ソフト(PHOENICS,CHAM-JAPAN社製,東京)を用いて,呼気のシミュレーションを行った。顎矯正手術が行われた患者の顎形態、骨片の移動量および移動方向,身体的な特徴との関連性を検討している解析にあたっては、この方法を小児患者の上気道通気状態シミュレーションで確立している鹿児島大学歯学部小児科の岩崎智憲准教授を連携研究者として行っているところである。 顎矯正手術の術前にEpworth sleepiness Scale(ESS)エプワース眠気尺度による問診、簡易PSG検査装置(携帯用睡眠時無呼吸検査装置 SAS-2100, NIHON KOHDEN社製,東京)による検査を行い、SPO2,鼻口気流、気管音を測定している。金沢大学附属病院呼吸器内科の協力にもとFULL PSG検査も行っているところである。本年はまだ解析に十分な症例を行っていないが、来年度に症例が増えた場合に解析する予定である。また、来年度は英国のリバプール大学と共同で、睡眠呼吸障害と関係の深い小下顎症の発症に関係する研究も行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
顎矯正手術症例は順調に増加しており、まだ解析には至っていないが、検査も順調に進んでいる。REM睡眠、non-REM睡眠を鑑別できる小型の簡易型PSG検査(ウォッチパッド)を用いて、周術期の睡眠呼吸障害について検査を行なう研究を追加した。顎矯正手術のみならず、同一患者における顎矯正手術前の全身麻酔下の智歯抜歯時にも行うことで、顎矯正手術時の気道リスクについての評価も行うことにした。その結果、術後3-4日目にAHIの上昇が認められ、術直後のみならず術後数日経過した場合であっても気道に注意が必要と思われる結果が得られている。これらの結果は統計学的有意差を検討できるだけの症例数ではないため、今後症例を追加して検討する予定である。当初は筋電図について小型の筋電図計を用いる予定であったが、FULL PSG検査の足のチャネルを頬部に装着することで、検査することに変更した。
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今後の研究の推進方策 |
検査は順調に進んでおり、これらをくり返して症例数を増やし、解析を行う予定である。 耳鼻咽喉科での鼻腔通気度検査も評価し、総合的な気道評価を行う予定である。 また、スタンフォード大学との連携も行い、これらの結果を分析していただく予定である。 英国のリバプール大学と共同で、睡眠呼吸障害と関係の深い小下顎症の発症に関係する研究も行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
データの解析のために人件費、謝金を予算計上していたが、解析に必要なだけの症例数に達しなかったため、人件費・謝金が発生しなかった。来年度にはデータ解析が必要になると思われるため、次年度使用額が発生しました。
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次年度使用額の使用計画 |
人件費・謝金を予算計上していたが、次年度の人件費、謝金への繰越金とする
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