研究課題/領域番号 |
15K11314
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
多田 美里 (平岡美里) 広島大学, 大学病院, 歯科診療医 (40572326)
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研究分担者 |
武知 正晃 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 准教授 (00304535)
二宮 嘉昭 広島大学, 大学病院, 助教 (60335685)
重石 英生 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 助教 (90397943)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 多孔質セラミックス / 骨芽細胞 / 培養人工骨 / 生体材料 |
研究実績の概要 |
自家骨移植に代わる骨再生法として,これまで我々は多孔質セラミックス(IP-CHA)と骨芽細胞の培養人工骨が有用であること,また培養人工骨における各種成長因子の骨形成促進作用を報告してきた。本研究では,IP-CHA/骨芽細胞/成長因子複合体による培養人工骨の骨形成メカニズムを細胞,遺伝子レベルで解明し,培養骨芽細胞のみならず既存骨内の細胞の骨形成促進制御分子やその受容体の遺伝子発現変化と骨形成への関与について検索することで,高機能性生体材料の作製と臨床応用への検討を目的とした。 平成27年度は,IP-CHA/骨芽細胞/各種成長因子複合体におけるヒト骨芽細胞の増殖・分化マーカーの発現について検討を行い,各種成長因子により細胞内分子と細胞内シグナル伝達系がどのように普遍的,特異的な作用をきたして骨芽細胞の増殖,分化を制御しているかを解析するため,IP-CHA/骨芽細胞/各種成長因子(TGF-β1,TGF-β2,BMP-2,FGF-2)を単独もしくは複合的に含有する培養人工骨の作製を行った.当科で継代培養を行っているヒト顎骨由来骨芽細胞を使用し,今後はその増殖・分化マーカーの発現の検討を行い,細胞内分子と細胞内シグナル伝達系がどのようにALP,Osteopontin,Osteocalcinなどの骨形成マーカー発現に特異的な作用をきたして骨芽細胞の分化を制御しているかを検討し,顎骨再建においてより最適な高機能性生体材料を作製する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度は,IP-CHA/骨芽細胞/各種成長因子による培養人工骨を作製し,さらにマイクロアレイにより多孔体セラミックス(IP-CHA)上で培養したヒト骨芽細胞において特異的に発現している遺伝子の検索を行う予定であった.そのため,上記評価とした.
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は,引き続き各種成長因子が及ぼす多孔質セラミックスにおける骨芽細胞動態の詳細について検索するとともに,培養人工骨移植による局所的骨形成メカニズムおよび骨形成制御分子の解析を以下のとおり行う. ①IP-CHA/培養骨芽細胞/成長因子複合体による骨形成の検討:IP-CHAにラット骨芽細胞を播種し,石灰化誘導培地で培養,分化させて培養人工骨を作製後,それぞれ相互のラット脛骨骨欠損部に培養人工骨の移植を行う。脱灰,パラフィン包埋後,抗GFP,OCN,OPN抗体で免疫染色し,新生骨内の OCN,OPN 陽性細胞(骨芽細胞)の由来を検討する。 ②培養人工骨/サイトカイン複合体による異所性骨形成の検討:IP-CHAにラット骨芽細胞を播種し,成長因子を単独あるいは複数添加した石灰化誘導培地で培養,分化させ,培養人工骨/成長因子複合体を作製後,それぞれ相互のラット皮下に移植を行い,免疫組織学的検討を行う。また,骨分化マーカー遺伝子発現をreal-time PCR法にて検討し,より最適な培養人工骨を作製する。 ③基本物性の検討:上記 1.および2.で形成された新生骨の機械的強さを小型万能試験機(現有設備)で行う。また,試料の一部を用いてALP活性の測定,カルシウム含有量の測定,OCN産生量の測定を行い,生化学的に評価する。さらに,骨の再生をマイクロCTを用いて三次元的に評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度培養人工骨を作製し,現在IP-CHA上での骨芽細胞に特異的なマーカー検索を行っているが,進捗状況に若干の遅れが生じたため細胞培養関連の試薬の購入分の差額が次年度使用額として生じた.現在ではおおむね順調に進行している.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額に関しては,細胞培養関連用品の購入に使用予定である.
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