研究課題/領域番号 |
15K11318
|
研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
藤田 茂之 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (50228996)
|
研究分担者 |
木賀 紀文 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (20625397)
東條 格 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (70405439)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 神経断端腫 / 舌神経 / 神経損傷 / 神経性疼痛 |
研究実績の概要 |
舌神経は下顎埋伏智歯の舌側を走行しており、下顎埋伏智歯抜歯の際に舌神経を損傷する症例がある。その際に、舌神経損傷部位の中枢側に神経断端腫を認めることがある。長期間放置された神経損傷部位は、神経端に著しい変性・神経断端腫の形成・修復機構・再生機構が生じる。損傷部周囲では炎症性細胞から遊離する炎症メディエーターがニューロンの興奮性を上昇させる。この炎症誘発性物質が痛みの知覚伝導路に対して影響を与え、相対する脊髄神経節ニューロンに発現する受容体群を活性化していると考えられる。 今回、我々は、2013年から2017年にかけて舌神経吻合術を行った患者の舌神経損傷部位から採取され、パラフィン固定された神経断端腫を用いて、炎症誘発性細胞である好中球のマーカー(Ly6G)、マクロファージのマーカー(CD11b)、T細胞のマーカー(CD4)や神経損傷部位で認められる微小管制御因子SCG10蛋白等を染色・同定・測定し、神経障害性疼痛の病態を解明している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、採取された神経断端腫のパラフィンブロックのほとんどを切片に切り出し、標本にしており、SCG10蛋白・PGP9.5に神経断端腫の形態を解析している。また、特定の蛋白質を同定するために切除した神経断端腫の一部をマイクロアレイにより解析し同定する計画がすすんでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
SCG10蛋白・CD4等で舌神経断端腫の軸索の進展・線維組織の侵入等の基本構成をさらに解明し、マイクロアレイにより神経断端腫の構成を解析し、神経再生に関与する特定の蛋白質を同定していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は、研究内容を再度緻密に計画しなおし、倫理委員会への申請・採取されていた試料を染色できる状態に固定等、研究の準備が主だったため実支出資額は少なくなった。次年度は染色や蛋白質の解析等の費用がかかる研究内容であるため、次年度使用額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
舌神経から採取した神経断端腫の組織学的評価をするための染色抗体の購入や神経断端腫における特異的な蛋白質を特定するためにマイクロアレイによる解析を行う費用。
|