研究課題/領域番号 |
15K11332
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
高岡 一樹 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (60373122)
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研究分担者 |
浦出 雅裕 兵庫医科大学, 医学部, 特別招聘教授 (70104883)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 骨微小環境 / 破骨前駆細胞 / TGF-β |
研究実績の概要 |
マクロファージ系破骨前駆細胞RAW264.7細胞をTGF-βで刺激し,細胞形態の変化を観察した.invasion assayを行い,細胞遊走能へのTGF-βの影響を検討した.RAW細胞にTGF-βおよびその阻害剤であるSB431542,RANKL投与を行い,Rho, Racタンパクの発現をウエスタンブロット法にて検討した.また,TGF-βおよびSB431542を投与した細胞にRANKL投与を行い,破骨細胞への分化をTRAP染色で検討した.【結果】TGF-β刺激により細胞形態は円型から紡錘形に変化し,遊走能は減少した.TGF-β刺激によりRhoの発現に変化はみられなかったが,Rac1の発現は減少した.RANKL併用投与によりさらにRac1発現が減少し,Rho発現も減少した.RAW細胞はRANKL投与により破骨細胞への分化が見られたが,SB431542の投与により分化は抑制された.【考察】遊走性の高い破骨前駆細胞はTGF-βの上昇した骨微小環境内で遊走能を消失し,骨リモデリング開始部に定着する.さらに骨芽細胞から提供されるRANKLにより,破骨前駆細胞はRac1発現の減少に伴い,安定,静止した破骨前駆細胞となり骨芽細胞とともに微小環境を形成し,破骨細胞へと分化していくと考えられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
RAW264.7細胞に対してTGF-βおよびその阻害剤であるSB431542,RANKL投与後の免疫染色(細胞運動マーカー,EMTマーカー)の検討が行えていない.ウエスタンブロット法におけるEMTマーカーの発現の変化が予想と異なっていたため,同実験に時間を要した.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,RAW264.7細胞をTGF-βおよびその阻害剤であるSB431542,RANKL投与後の細胞運動マーカーに絞って研究を進める予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
ウエスタンブロット法におけるEMTマーカーの発現の変化が予想と異なっていたため,同実験に関する費用が予定より増加したが,年度末に行う免疫染色の実験に進めなっかたため,その分の差が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
免疫染色はEMTマーカーを省略して,運動マーカーを中心に行う予定であり,各種マーカーは購入済みや既存のものがある.免疫染色のための薬剤を購入する予定である.
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