研究課題
鎖骨頭蓋異形成症は、口腔・顎顔面領域に異常を伴う先天異常であり、永久歯の萌出遅延、多数歯埋伏、歯の移動遅延のため、矯正治療が非常に困難である。その原因遺伝子として骨芽細胞の分化に必須の転写因子であるRunx2が同定されているが、同症の口腔・顎顔面の異常に関する分子レベルでの病態や最良の治療法については未だ解明されていない。本研究では、鎖骨頭蓋異形成症患者の歯の移動遅延の原因を分子レベルで解明し、同症に対する新たな治療方法の開発に繋がる分子基盤を確立することを目的に、鎖骨頭蓋異形成症の病態モデルであるRunx2ヘテロ欠損マウスを用いて、矯正的歯の移動実験ならびに培養細胞を用いたin vivo, in vitroでの分子メカニズムの解析を行う。本年度は、in vivoでは、野生型およびRunx2ヘテロ欠損マウスの上顎切歯に、直径0.012インチのニッケル・チタン製ワイヤーを装着し、10 g の荷重で上顎右側第一臼歯を口蓋側へ移動させ、歯周組織における骨リモデリング様相を観察した。その結果、Runx2ヘテロ欠損マウスは、野生型マウスに比べて矯正的歯の移動が遅延し、歯の移動による類骨形成と骨芽細胞分化が低下していた。さらに、in vitroでは、野生型およびRunx2ヘテロ欠損マウスより単離した骨髄間質細胞にシリコンチャンバーを用いて伸展力を負荷した結果、Runx2ヘテロ欠損マウス由来骨髄間質細胞は、野生型マウス由来細胞に比べて、伸展によるDNA量と骨分化マーカーの増加が遅延していた。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件)
Sci Rep
巻: 7 ページ: 13969
10.1038/s41598-017-13541-7