研究課題/領域番号 |
15K11341
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
鈴木 聖一 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (90187732)
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研究分担者 |
菊池 正紀 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, グループリーダー (00354267)
森山 啓司 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (20262206)
川元 龍夫 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (50323704)
高久田 和夫 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (70108223)
上園 将慶 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 特別研究員 (80737346)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 歯科矯正 / 固定 / オンプラント / 骨膜下デバイス / 矯正力 / 有限要素法 |
研究実績の概要 |
歯科矯正用ミニスクリュウは歯の移動の際の絶対的固定源として矯正臨床において極めて有用な装置である。しかしながら歯槽骨内に埋入するため歯根を損傷する危険がつきまとうこと、また後続永久歯の歯胚そ損傷の危険性から成長期の児童には適用できないなど問題点も多い。骨膜下に埋入するオンプラントは骨内への浸襲がないため上記の危険性はないが、新生骨による固着が必要となるため埋入から使用できるまでの待機期間が長く実用化にいたっていない。我々は、タンロッドにアパタイトコラーゲンをコーティングすることで埋入後4週間で十分な骨の新生とチタンロッドの固着を達成した。しかしながらオンプラントは矯正治療の固定源として負荷された矯正力に対抗できる固定力を発揮しなければならない。。固定後のオンプラントが矯正力の負荷に対抗できるだけの固定力を持ちうるためには周囲に形成される新生骨の量と形状が十分かつ適切なものでなければならない。今回は有限要素法を用いてオンプラントの骨接着面形状よってオンプラントに負荷された矯正力が周囲の新生骨にどのように伝播されるか解析を行うことを目的とした。今回は断面が半円、円、および長方形のチタンロッドの周囲に高さの半分まで新生骨が形成されたオンプラントを想定し、そのチタンロッドに矯正力をかけた際に新生骨に加わる荷重の部位と大きさ、および新生骨が破壊するまでに必要な荷重について有限要素法を用いて検討した。その結果、断面が半円のものがより大きな矯正力の負荷に対しても周囲の新生骨が破壊されずに固定を維持することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
有限要素法に関するエキスパートの指導助言をいただき、またすでに動物実験でチタンロッド埋入時の新生骨の形状についてもある程度把握していたので、研究の進行に問題はないと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今までの研究により有限要素法を用いたシュミレーションにより、断面が半円のチタンロッドが負荷をかけた際の周囲の新生骨の耐久性が高いことが分かった。今後は実際にラットカルバリアの骨膜下に断面形態を変えたチタンロッドを埋入して新生骨を作成させ、引っ張り試験等による検査で実際のチタンロッドの骨への固定が有限要素法でシュミレーションした結果と相同であるか検証し、もし異なるようであれば新生骨の硬度など新たに生物学的定数を組み込むことで、有限要素法のシュミレーションの精度をあげ、矯正力の負荷に十分対抗できる固定維持力を発揮する上で最も適切な骨接着面形状を有するオンプラントの製作を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
有限要素法のデータとして必要な骨や新生骨の物性、力学的特性などのデータを得るため動物実験を行ったが比較的数値が安定していたため、当初予測したほどの動物実験が必要でなかったため、実験動物の引き数、実験器具が当初の予測より少なくて済んだため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は有限要素法でシュミレーションした結果が実際の生体において再現されるか検証を行う予定である。生体での研究はチタンロッドの置き方に加えたて動物の健康状況、運動、成長状態など個体による変異が大きく、実証的なデータを得るためにはより多くの動物実験を行う必要があり、前年度の差引額はこの動物実験に使用する予定である。
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