研究課題
まず、生理的な乳歯歯根吸収ならびに永久歯萌出機構を明らかにすることを目的とし、生後24か月齢から29か月齢のウシ(和牛)の下顎前歯部並びに歯周組織、下顎骨を入手し、乳歯並びに永久歯歯冠幅径・厚径、乳歯並びに永久歯の歯根長、歯槽骨幅径、左右別アーチレングスディスクレパンシー、動揺度(ミラーの分類、ペリオテストによる計測)、歯小嚢表層の色等の計測・記録・解析、写真撮影、単純X線写真撮影、歯科用コーンビームCT撮影を行った。その結果、変化が大きかった第3前歯切歯では、永久歯の歯根長が長くなるにつれ、乳歯の歯根長が吸収され、有意に短くなっていた。また、負のアーチレングスディスクレパンシーの絶対値が大きいと、乳歯の歯根吸収・動揺・脱落、後継永久歯の歯根形成・萌出が遅延する傾向にあった。また、歯の移動の歯根形成に対する影響を明らかにすることを目的に、生後3-5週齢のラットの生理的歯根形成状態を組織学的並びにマイクロフォーカスX線CTにて撮影し、生後3週齢での歯根形成が活発であることが明らかとなった。以上の結果から、歯根吸収を評価できる歯根形成期並びに完成期ラット並びにマウスの歯の移動モデル構築を開始している。今後、in vivoでの歯の移動による歯根吸収モデルをアレルゲン特異的なIgEを構成的に発現する遺伝子改変マウス等にも適用し、抗マウス好塩基球モノクローナル抗体等を用い、好塩基球除去を行った後にアレルゲンで暴露する実験群と好塩基球除去を行なわずにアレルゲン暴露する対照群における、歯根吸収量の差異の有無をマイクロCTにて経時的に定量評価すること、また、各種標的分子の発現等の3次元分布を光イメージング装置にて経時的に定量評価することにより、歯根吸収の重篤化に関わる、好塩基球はじめとした各種アレルギー関連因子の関与について明らかにしていくことを検討している。
3: やや遅れている
研究協力者が体調不良のため、半年間休学するという、研究開始当初では想定できなかった状況による研究活動遅延が生じた。
今年度は、当該研究費により、次の検討を行う方策である。in vivoでの歯の移動による歯根吸収モデルを、アレルゲン特異的なIgEを構成的に発現する遺伝子改変マウス等にも適用し、抗マウス好塩基球モノクローナル抗体等を用い、好塩基球除去を行った後にアレルゲンで暴露する実験群と好塩基球除去を行なわずにアレルゲン暴露する対照群における、歯根吸収量の差異の有無をマイクロCTにて経時的に定量評価する。また、各種標的分子の発現等の3次元分布を光イメージング装置にて経時的に定量評価する。
次年度に使用する助成金は、研究協力者が体調不良になり、半年間休学するという、研究開始当初では想定できなかった状況による研究活動遅延が主な要因で生じ、海外研究発表を行ったが、旅費の請求手続きをできなかったことなどでも生じた。
1)旅費・謝金等を用い、生理的な乳歯歯根吸収ならびに永久歯萌出機構に関する学会発表と論文報告を行う。2)歯根吸収を評価できる歯根形成期並びに完成期ラット並びにマウスの歯の移動モデルに関する検討に消耗品・謝金の使用を行う。また、歯の移動による歯根吸収モデルのアレルギーモデル動物等への適用に消耗品・謝金の使用を行う。
すべて 2015 その他
すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (2件)
http://reins.tmd.ac.jp/search?m=home&l=ja
http://www.tmd.ac.jp/dent/ort1/research-E.html