| 研究課題/領域番号 |
15K11345
|
|---|
| 研究機関 | 大阪大学 |
|---|
研究代表者 |
社 浩太郎 大阪大学, 歯学研究科, 准教授 (10303976)
|
|---|
| 研究分担者 |
村上 秀明 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (00263301)
留 和香子 朝日大学, 歯学部, 准教授 (10437395)
山城 隆 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (70294428)
谷川 千尋 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (70423142)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
| キーワード | 大脳賦活領域 / 紡錘状回 / 大脳辺縁系 / 楔前部 / 皮質顔領域 / 自己顔認知 / 他者顔認知 / 顎変形症 |
|---|
| 研究実績の概要 |
＜目的＞平成29年度は、顎変形症に対する骨きり術前後の自己顔を認知するときの脳機能画像（FMRI）を撮像し、皮質賦活領域を明らかにするための実験を継続した。＜被験者・方法＞被験者数は順調に増加中であるが、H29年度内では、成人健常者11名（男性3名；女性8名）、顎切除術が終了した顎変形症患者が13名(唇顎口蓋裂を有する成人女性4名含む)について計測し、分析を終了した。患者については、FMRIによって、術前後の顔を視覚刺激とした時の大脳賦活領域を計測した。すなわち、（１）術前の正貌（鏡面像）、（２）同性の他人の正貌、（３）術後の現在の正貌、（４）有名人の正貌、および（５）として、（１）をスクランブル化した画像の10秒間の視覚提示を7.5秒のレストを間に挟んでそれぞれランダムに４回ずつ行い、MRI画像を記録した。健常者については同様に、（１）自己の正貌（鏡面像）、（２）同性の他人の正貌、（３）他人から自己へと５０％変化させたの正貌、（４）有名人の正貌、および（５）として、（１）をスクランブル化した画像を同様に視覚提示し、それぞれの条件下での皮質賦活領域を同定した。また、運動主体感や、身体保持感については、行動実験で、一部データ採得してその信頼性を検討した結果、当初の実験方法を変更する必要性があった。すなわち、自己顔覚知の指標としては以下のような方法が適切であると判断した。：患者が、術前術後の様々な時期における自分の顔を、どの程度自己顔として顕在的に認知しているかを定量化するための新たな行動実験が必要であった。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
被験者数を順調に増加中であるが、H30年度内で、成人健常者を10名追加（男性７名；女性８名）、顎切除術が終了した顎変形症患者10名(唇顎口蓋裂を有する成人女性６名含む)について追加計測し、分析を加えていく必要がある。また、健常者群と、患者群の顔の身体認知機構について、これまでの本行動実験結果と上記の皮質賦活領域との関連については解析を加えていく必要がある。
|
| 今後の研究の推進方策 |
術前術後の様々な時期における自分の顔を、どの程度自己顔として顕在的に認知しているかを定量化する。このために自己顔と他者顔を様々な割合でモーフィングした顔刺激を用いた心理物理実験を行う。患者には、提示された顔刺激に対して、自己顔の割合のほうが、他者顔の高い割合で混ぜられているかどうかを回答させる。計測後に実際の刺激に含まれる自己顔の割合を横軸に、自己顔の割合が高いと答えた割合を縦軸にとった、心理物理曲線を作成し、主観的等価点（PSE）を求める。術後の患者は、意識的に新しい顔を自己顔として受け入れることができると予想される。新しい顔に対する顕在的な自己認知過程は、術後3か月から半年の比較的早い段階で、急激な適応を示す可能性がある（図5）また、PSEは術前の50%から手術直後から術後3か月では50%以上に増加するが、半年以降ではすでに、術前の50%に近づくことが仮定できる。
|
| 次年度使用額が生じた理由 |
（理由）被験者総数（患者群、健常者群それぞれトータルで２５名分）の謝礼金を確保する必要が生じたため。また学会での発表に係る交通費や通信費を確保するためである。
（使用計画）被験者総数（患者群、健常者群それぞれトータルで２５名分）の謝礼金を確保する必要が生じたため。また学会での発表に係る交通費や通信費を確保する。
|
