研究課題/領域番号 |
15K11351
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
國則 貴玄 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (00626666)
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研究分担者 |
宮脇 正一 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (80295807)
友成 博 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 講師 (70398288)
大牟禮 治人 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (00404484)
永山 邦宏 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 助教 (60583458)
高田 寛子 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (80634229)
八木 孝和 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 講師 (10346166)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 睡眠時無呼吸 / 上顎劣成長 / 下顎劣成長 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、上下顎骨の劣成長に起因する睡眠時無呼吸と胃食道逆流の罹患率を横断的に調査し、外科的矯正治療による顎顔面形態の改善に伴う咽頭気道の拡大と咬合の改善が睡眠時無呼吸と胃食道逆流に及ぼす効果を縦断的に調べ、解明することである。我々の予備実験によると、咬合接触面積や咬合力が小さく、下顎下縁平面の開大した不正咬合患者では睡眠呼吸障害や胃食道逆流症状が多く認められることが既に確認されている。さらに最近我々は、小下顎症に起因する咽頭気道の閉塞により閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)を発症している患者に対して、下顎骨延長術を行うことで咽頭気道が拡大し、睡眠中のApnea Hypopnea Index(AHI)と動脈血酸素飽和度も改善し、外科的矯正治療が睡眠呼吸障害の根本療法として有効であることを示した。 睡眠時無呼吸患者において、肥満、アレルギー性鼻炎といった鼻疾患、アデノイド肥大等の睡眠時無呼吸の主要なリスクファクターを排除した場合、上顎歯列の狭窄や小下顎症の患者が多いことが予想される。また、上顎骨の外科的側方拡大や下顎骨延長術により咽頭気道や口腔容積が拡大することで睡眠時無呼吸が改善することも予想される。しかし、上顎劣成長や下顎劣成長を呈する患者に対して、上顎骨や下顎骨の前方移動を計画することが少ないことに加えて、睡眠時無呼吸の確定診断に必須の標準睡眠時ポリグラフ検査や、胃食道逆流症の確定診断に必須の内視鏡検査は身体的負担が大きく、被験者の獲得が困難である。そこで、鼻腔の開存性や通気性と顎顔面形態との関連を横断的に調査するため、音響鼻腔計測法と鼻腔通気度検査を追加し、被験者の選定を継続している。これらの検査を行った被験者は30名であり、鼻腔通気性の低下と骨格性の上顎前突の程度との間に正の相関を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の目的は、上下顎骨の劣成長に起因する睡眠時無呼吸と胃食道逆流との罹患率を横断的に調査し、外科的矯正治療による顎顔面形態の改善に伴う咽頭気道の拡大と咬合の改善が睡眠時無呼吸と胃食道逆流におよぼす効果を縦断的に調べ、解明することである。しかし、上顎劣成長や下顎劣成長を呈する患者に対して、上顎骨や下顎骨の前方移動を計画することが少なく、被験者の確保が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、被験者に睡眠時無呼吸症候群の確定診断に必須の標準睡眠時ポリグラフ検査を予定しているが、上顎劣成長や下顎劣成長を呈する患者に対して上顎骨や下顎骨の前方移動を計画することが少ないことに加えて、被験者に対するこれらの検査の負担が大きく、被験者の獲得が進んでいない。そのため、上顎骨や下顎骨を前方移動する計画の被験者を獲得でき次第、検査の負担を軽減できるように、医療保険で測定が必須とされている鼻気流、いびき音、動脈血酸素飽和度の3項目と脳波記録等により睡眠段階の測定が可能なOSA検査機器を用いて自宅で睡眠検査を行うことを検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 上顎骨や下顎骨の前方移動を計画する患者が少なく、十分な被験者数を確保できなかったため。 (使用計画) 実験群の被験者と同等数の対照群の被験者を確保し、実験群の被験者と同じ検査を行う。現時点で被験者数が不足しているため、鹿児島厚生連病院睡眠センターに協力を要請することを検討する。また、被験者の負担軽減のために自宅で睡眠検査を行う場合は、複数の簡易型モニターを購入する。
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