研究課題
本研究では、形態形成を司るWntシグナルについて顎顔面の形成時におけるメカニズムを明らかにすることを目的とした。これまでWntシグナル阻害による細胞増殖活性の変化を調べたところ、DKK-1投与24、48時間後、BrdU陽性細胞数が有意に減少し、細胞増殖能が低下することを明らかにした。また、Bmp4、Tbx22、Sox9、Barx1遺伝子発現は、DKK-1投与1時間後有意に減少したが、Wntシグナルを活性化させるAlsterpaulloneを投与すると遺伝子発現が回復した。したがって、Bmp4、Tbx22、Sox9、Barx1は形態発生を司る因子であることから、Wntシグナルは上顎の形態発生に関与していることが確認された。昨年度は、chick embryoの上顎突起にAlsterpaulloneを投与すると、Msx1遺伝子発現が1.5倍に増加していることを明らかにした。平成30年度は、AlsterpaulloneによるN-cadherinの発現について免疫組織学的に調べたところ、Alsterpaullone投与24時間後から上顎突起にN-cadherinの発現上昇を認めた。N-cadherinは、軟骨形成に必要な軟骨細胞の凝集に関与する蛋白であり、その発現が上昇したことから、Wntシグナルを活性化すると軟骨形成が促進されることが示唆された。
すべて 2018 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
PLoS One
巻: 13 ページ: e0196191
10.1371/journal.pone.0196191.