本研究では、ラット臼歯の矯正学的な歯の移動に伴う歯根膜由来の三叉神経節ニューロンの興奮性増強に対する三叉神経節内のニューロン-グリア細胞間クロストークの病態生理学的役割を明らかとするために、行動学・電気生理学・免疫組織化学的手法にて系統的に解析した。その結果、上顎臼歯への矯正力の付与に伴い上顎顔面皮膚に異所性痛覚過敏が認められた。歯根膜の炎症に伴い顔面皮膚への機械刺激に対する三叉神経脊髄路核尾側亜核広作動域ニューロンの閾値の低下と発火頻度が増加することにより発現することが判明し、三叉神経節ニューロンの興奮性に対するニューロン-グリア細胞間のクロストークが重要な役割を果たすことが強く示唆された。
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