研究課題/領域番号 |
15K11362
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
鹿児島 暁子 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (50727584)
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研究分担者 |
佐藤 正宏 鹿児島大学, 医療ミニブタ先端医療開発センター, 教授 (30287099)
稲田 絵美 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (30448568)
野口 洋文 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50378733)
齊藤 一誠 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (90404540)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | CRISPR/Cas9システム / DSPP遺伝子 / pCXLE-pac / RedCasDSPPni |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、歯の形成不全の発生機序の解明のために、次世代ノックアウト(KO) 技法を用い、乳歯歯髄細胞内の標的遺伝子を効率的に破壊し、歯構成細胞への分化誘導後の細胞の機能を検討することである。つまり、次世代型KO技法であるCRISPR/Cas9システムを、デンチンミネラル形成に関わるdentin sialophosphoprotein (DSPP)遺伝子部分に適用させ、同部分を破壊することにより、odontoblastへの分化誘導がどのように影響されるかを検討する。KOマウスを用いた系からDSPPタンパク不在とodontoblastへの分化との関係について報告されているが、ヒトの系ではまだ検討されておらず、歯の形成不全症の解明の一助となり得るために、本研究は非常に意義があると思われる。 そこで、まずは次世代型KO技法であるCRISPR/Cas9システムの作動確認のために、α-1,3-GalactosyltransferaseをKOしたブタ胎子線維芽細胞を作製したところ、薬剤耐性を有するKO細胞株の樹立が可能であった。 また、pCGsap1/Dspp, pTrans, pT-EGFP, pT-Hyg発現ベクターを作製し、乳歯歯髄細胞へ遺伝子導入を行ったところ、20%程度の遺伝子導入株を確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は、CRISPR/Cas9システムの一つの成分であるCas9遺伝子を恒常的に発現するHDDPCs株作製のため、遺伝子効率に関する検討を行う必要があった。当初、エレクトロポーレション法にて遺伝子導入を行っていたが、導入後の細胞生存率が5%を切るなど、transfectantsの安定的な樹立に時間を要した。最終的には60%程度の細胞生存率を確保することが可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
HDDPCsなどの間葉系細胞は、50μg/mL アスコルビン酸や2 mM alfa-glycerophosphateの存在下で培養するとodontoblastsへ分化し、誘導7日後にデンチンミネラル形成が起こる。そこで、遺伝子導入株をアスコルビン酸やalfa-glycerophosphateで処理し、デンチンミネラル形成の有無をalizarin red染色法で検討する。対照群(何も処理されないHDDPCs)では、染色されるが、実験群では染色されないかその程度はかなり弱いと予想される。併せて、odontoblastsのマーカーを用いたRT-PCR解析を行い、実験群でodontoblasts形成の有無があるかも調べる。更に、分化誘導の前後における遺伝子発現パターンをマイクロアレーで解析する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
文房具を購入予定であったが当初の予定よりも使用しなかったため、購入を遅らせた。
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次年度使用額の使用計画 |
文房具を購入予定である。
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