研究課題/領域番号 |
15K11366
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
平野 慶子 岡山大学, 大学病院, 助教 (50335618)
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研究分担者 |
藤田 一世 岡山大学, 大学病院, 講師 (00437386) [辞退]
仲野 道代 (松本道代) 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (30359848)
高島 由紀子 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (30589768)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 小児がん / 造血幹細胞移植 / 口腔内細菌 / 乳酸桿菌 / 歯周病菌 / ミュ-タンスレンサ球菌 / 周術期 / 齲蝕 |
研究実績の概要 |
悪性腫瘍の治療法の1つである造血幹細胞移植の際には、移植直後にみられる口腔内の炎症が一旦消退しても、口腔内衛生状態が悪く、重篤な齲蝕や歯周疾患に罹患している患者が多くみられる。このようなことは、移植前の化学療法、免疫抑制剤投与により口腔環境が激変することにより、口腔内の細菌叢が変化している可能性が示唆される。本研究では造血幹細胞移植を行う小児患者の術前術後の口腔内の細菌叢の変化を調査するため、保護者の同意が得られた患者の術前、術後1か月および3か月後に唾液の採取を行い、細菌DNAを抽出し代表的な口腔細菌の存在についてPolymerase Chain Reaction法を用いて調査した。その結果、口腔レンサ球菌に関しては齲蝕原性細菌であるStreptococcus mutansおよびStreptococcus sobrinusを含めた5種類の細菌が存在を認め、術後3か月では、術前と比較してS. sobrinusの検出率が高くなっていた。歯周病菌については、健常児ではほとんど検出されないが、術前より歯周病菌の検出率が高く、術後ではさらに検出率が上昇し、特にPrevotella nigrescensと Eikenella corrodensが3か月後に最も多く出現した。その他の歯周病菌も完全に術後に消失したものはほとんど認めなかった。また選択培地を用いて乳酸桿菌の出現について調査を行った。その結果、乳酸桿菌の出現については術前では約40%に認めたが、術後3か月では約90%に認められた。以上の結果から通常はあまり小児の口腔からは検出されない歯周病菌および乳酸桿菌が検出されており、歯周状態の悪化や重症齲蝕が発生しやすい口腔内の細菌叢へと変化していることが明らかとなった。このことから、造血幹細胞移植を受けた小児に対して継続的な口腔衛生指導および口腔内管理が必要と考えられる。
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備考 |
1.吉田衣里,造血幹細胞移植患者における口腔内細菌叢の変化と対応第29回岡山大学病院小児医療センター合同カンファレンス, 2018年1月23日,マスカットキューブ (岡山県 岡山市)
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