研究課題/領域番号 |
15K11367
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
太刀掛 銘子 広島大学, 病院(歯), 病院助教 (90530775)
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研究分担者 |
香西 克之 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 教授 (10178212)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 摂食嚥下 / 小児 / 舌接触補助床 / 口腔内装具 |
研究実績の概要 |
小児の摂食嚥下障害患児に対するPAPの効果についての報告は数少なく,VF検査やVE検査による客観的な評価も行われていない。また,数例に対する症例報告であるため,PAPそのものの効果を判定したものとはいいがたい。現在のところ,小児の摂食嚥下障害患児に対するPAPの適応,手技,機能評価などのガイドラインが作成されておらず,術者の裁量にゆだねられているといえる。現在我々は,摂食嚥下障害を有する小児に口腔内補助具を装着し,その時の嚥下状態をVF検査,VE検査にて客観的に確認しながら,安全な嚥下パターンを誘導することを試みている。摂食嚥下障害を有する小児のうち,現在,①口腔内装具を装着した介入群(舌接触補助床10名,OKアプライアンス7名)と②口腔内装置を装着していないコントロール群(6名)において調査を行っている。VF撮影を定期的に行い評価したところ,介入群ではPAP非装着時と比べてPAP装着時では、食塊の送り込みが早くなっているケースや嚥下時に多量の空気を呑み込んでしまう空気嚥下の空気嚥下量の減少が認められた。OKアプライアンス装着時は舌骨の挙上が認められ,奥舌の挙上および口腔内保持の改善が認められた。コントロール群では,口腔内保持や送り込みの改善,食塊形成の改善が認められるものの,大量の空気を呑み込んでいるケースが多く認められた。小児の摂食嚥下障害患児は全身疾患を有する患児が多く,患児の病態によって摂食嚥下の改善の程度に差が出るため評価が難しい。VF撮影時に指示がうまく通らない場合もあり撮影が困難であることがあるため,評価可能である目標の対象患児数に達しておらず,今後は対象患児を増やし,評価を行っていく必要がある。また,PAP装着前,PAP装着後における全身状態の把握および誤嚥性肺炎のリスク判定について検討していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
基礎疾患が重度のため口腔内装具の装着が困難であった患児や口腔内装具を装着してもその後継続使用が困難であった患児が多く認められた。また,VF撮影での評価の際に,うまく指示が通らず,撮影が困難である場合もあり,評価可能な対象患児の確保が難しく,調査が進行していない。また,研究者代表者が現在幼児2人の育児中であり,研究のための時間を十分取得できていない状態のため,研究の進行が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
現在口腔内装具を装着している患児については継続使用行い,定期的に評価を行っていく。今後,対象患児を増やしていき,評価を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究がやや遅れているため,使用計画と使用額に差が生じている。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度も研究は継続するため,次年度は研究の遅れを取り戻し,使用していく。
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