本研究では日本国内におけるMIHの発症頻度や重症度を評価し、MIHを発症、重症化させている因子の解明を試みた。広範囲の白濁および変色、歯質の実質欠損を認めたのは対象児童の2.8%であり、本研究でこれらを重度MIH罹患者と規定した。重症MIH罹患者か否かに分けてアンケート結果の解析を行ったところ、家庭での歯磨剤やジェル等のフッ化物使用状況によっては、MIHの重症化に何らかの影響を与えている可能性が示唆された。MIHが発症するか否かは一つの因子の有無によって決まるのではなく、複数の要因が重なることで生じると考えられる。MIHの発症や重症化の機構解明に更なる検討が必要である。
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