研究課題/領域番号 |
15K11378
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
尾崎 正雄 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (10152472)
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研究分担者 |
岡 暁子 福岡歯科大学, 歯学部, 准教授 (60452778)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | マウス / 口蓋粘膜 / 潰瘍 / レーザー |
研究実績の概要 |
当該年度は、マウス口内炎-CO2レーザー治療モデルの確立と創傷治癒過程の評価法の決定を行うためのパイロット実験を施行した。 酢酸を用いて、口内炎を人工的に作製するため、適応させる酢酸濃度を10%~50%、作用時間を30秒~1分で設定し、解析部位は、舌背部、下顎前歯部唇側歯槽歯肉部、上口唇粘膜を対象として、人工口内炎を作製しHE染色にて評価した。この検討から、本研究で用いるマウス人工口内炎モデルは、1.5mm径のスポンジで50%酢酸を1分間口蓋粘膜に作用させることとした。口内炎形成24時間後に、2種類の強度でCO2レーザー照射を行い、照射後2日、5日、7日、14日で組織切片を作成し、HE染色、Ki67抗体、E-カドヘリン抗体、αSMA抗体、TenascinC抗体、Periostin抗体、HSP70抗体を用いて、免疫組織学染色を施行した。HE染色像の観察から、CO2レーザー照射群では、創部での上皮新生が活発で、CO2レーザー非照射群と比較して、創傷部は明らかに早く新生上皮で被覆された。上皮細胞において、口内炎形成マージンと、新生上皮先端の2箇所でKi67発現陽性細胞をカウントしたところ、CO2レーザー照射群で高い値を示し、上皮細胞の細胞増殖が高いことが明らかとなった。免疫組織学的染色による解析から、CO2レーザー照射によって、口内炎形成でむき出しとなった間葉組織における細胞外基質蛋白の発現に差がある可能性がされた。現在、上皮細胞の遊走や細胞増殖を促進させる因子を検索するために、CO2レーザー照射による種々の細胞外基質蛋白、炎症マーカーの遺伝子発現への影響を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウス口内炎-CO2レーザー治療モデルが確立され、創傷治癒評価としても用いるパラメータの決定も行うことができた。さらに、CO2レーザー照射の効果が粘膜上皮の細胞増殖活性促進作用であることが示唆されたことから、CO2レーザーの創傷治癒効果のメカニズムの一端を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
CO2レーザー侵襲による創傷治癒過程の組織学的評価と同じく、治癒過程でのそれぞれの遺伝子発現の増加・減少について、Real time PCRを用いて解析する。 さらに、口腔粘膜上皮細胞および線維芽細胞を用い、培養温度を変化させることでCO2レーザーの熱効果の代償とし、それぞれの遺伝子発現の増加・減少について、Real time PCRを用いて解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
最大限、予算内で使用することを試みたが、202円の端数が消化しきれなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
薬品等の試薬購入に使用する予定である。
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